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【2016/12/5開催レポート 曄崟こΔ乏悗屮┘轡ル消費〜スウェーデンの銀行を変えた消費者のチカラ」

2016年12月、Fair Finance Guide(以下FFG)の日本版のウェブサイト(以下FFGJ)の立ち上げから2年が経ったことを記念して、国内外から様々なゲストをお呼びして、東京・京都の2か所、計2日にわたって、シンポジウムを開催しましたきらきら

 

 

海外のゲストはスウェーデン消費者協会のJakob König氏kyu

7000通を超える銀行へのメッセージを集め、また銀行業界での社会性に関するルール作りのため様々な運動を仕掛けている、そんなFFG Swedenの運営を主導しています。

また国内からも、様々な分野にて消費者運動をけん引されてきたゲストの方々をお招きしました!


これまでのエシカル消費にとどまらない、エシカルな銀行の選択によるお金の流れの改革のために、日本の消費者は何ができるか、何をすべきかを深く議論することができました。


ここでは、2日目に京都にて行った講演についてご報告します。

 

 

西島香織(A SEED JAPAN事務局長)
「開会挨拶:本シンポジウムの趣旨と概要」


FFGは銀行の投融資について評価し考えるツールとなっており、これまでの調査から非人道兵器、タスマニア州の森林破壊などの環境破壊につながる業界に対して銀行の投融資がなされていることが明らかになりました。

そういったお金の流れを変えるためにも、これからは銀行の安全性、つまりつぶれないかどうかだけではなく、社会性も考慮していく必要があります。

 

さて、エシカル消費と食事を金融の視点から考えてみます。

 

これまでエシカルな消費者はアクション、つまり食べない・買わないなどの消費行動を通じて意思表示を行ってきました。その一方で、そういった皆さんの預金を通じた意図しないお金の流れも存在している現状があります。

だからこそ、商品の社会性だけでなく、銀行の社会性も考えることが必要なんです。特に、銀行を変えることには大きなレバレッジがあります。というのも、銀行からのお金の流れを変えることで、エシカルな消費者だけでなく、そうでない消費者のお金の流れも同時に変えることができます。
今回は、スウェーデンでどのような取り組みがあり、また日本でこれからどういう取り組みの予定があるのかについて、ゲストの皆様からお話をいただきたいと思います。

 

 

田辺有輝氏(「環境・持続社会」研究センター(JACSES))
「FFGJの2年間の取組みの成果と課題」


FFGは元々2009年にオランダの消費者団体を中心に設立されたもので、2014年に日本を含む7か国、その後さらに2か国を加えて現在9か国へ活動が広がっています。

 

 

現在は資産額の多い日本の上位7銀行について投融資方針を評価。評価スコア改定を複数回にわたって行いました。
その銀行の評価の総合点を見ると、三井住友トラストが一番で、それに大手3メガが続いており、農林中金や日本郵政は非常に低いスコアとなってしまっています。このようにスコアで比較することで、どの銀行がよりよく取り組んでいるかがわかりやすく見える上、銀行間で競争意識が働きます。

過去2年間のスコアの変化を見てみると、スコアが上昇した銀行が複数あります。このうち三井住友トラストはエクエーター原則に署名し、りそなも国連グローバルコンパクトに署名するなど取り組みを深めました。

 

ところで、銀行が方針を掲げると、それによって高いポイントが得られて、銀行に対する評価が上がります。このこと自体はいいのですが、一方で実際の投融資行動との間にギャップが生じている懸念があります。そこで投融資の実情はどうなのか、ケース調査を通して確認しています。

しかしながら銀行は、ケース調査よりもむしろ預金者からのメッセージを強く気にしています。

 

「日本の金融機関による遺伝子組み換え食品関連企業への投融資実態に関するケース調査報告」

(12/4では田中滋氏が、12/5は田辺氏が報告)


先月(注:2016年11月)には遺伝子組み換え食品(以下GMO)に関するケース調査も公表しました。GMOのリスクは多く指摘されています。例えば遺伝子組み換え(以下GM)の中で意図しない効果が生まれた場合に、それが自然界に浸透して汚染が広がる危険性があります。

また人体にも疫学的に影響があると分かっていて、アレルギー・免疫不全の患者がGMOをやめたら改善したという例があります。さらに農家にとっても、種子を毎年購入しなければならず、経済的な負担が大きく、世界銀行が途上国農家の経営の観点からGMOに疑問があると発表しました。

これらの問題があるにもかかわらず、世界中にGMOが広まってしまっています。

一つの原因として、他の分野では予防原則、つまり科学的に影響が不確定であっても、大きなインパクトをもたらしうる場合は予防的に規制することが求められていますが、これが現状ではGM産業において組み込まれていないことがあります。そのようなGM産業に関するケース調査では、GM種子三大大手企業のモンサント・シンジェンタ・デュポン、またGM関連農薬最大手バイエル、そしてモンサントの農薬に対してキーテクノロジーを提供している住友化学の5社に対する投融資額を調査しました。その結果、7銀行から2.8兆円、さらにGPIFから3400億円の投融資がなされていることが明らかになりました。GMの技術開発には莫大な初期コストがかかるため、金融は大きな役割を持っています。欧米の動きに対して、日本の銀行はGMOに関して何も言っていないため歯止めがかかっておらず、働きかけを強めなければいけません。
今後について、まず現在日本の銀行の評価は海外の大手銀行より低い水準にあるので、方針の改善が必要です。また既に掲げられている方針も実践されていないため、銀行に実施体制を作らせる必要があります。活動としては、保険など他の金融機関への評価も行っていく予定ですし、またインド・タイ・フィリピンなどアジア地域に活動を広げる予定です。

 

Jacob König氏(Swedish Consumer’s Association:スウェーデン消費者協会)
「スウェーデンにおけるFFGの取組みの成果〜エシカル消費のムーブメントと銀行の変革」


私はスウェーデン消費者協会に所属し、アムネスティなど4つの団体と共同でFFGにおいて活動しています。今回はFFGによるスウェーデンの銀行に対する影響と消費者からの反応についてお話します。

 


スウェーデンでは以前から、消費者が自分たちのお金と社会・環境問題との関連に気づき、銀行へ社会的責任を求めている恵まれた状況にありました。実際に95%の消費者が銀行に対する倫理性・環境性を重視し、また2/3の人がそのために預金先の銀行を変えることを厭わないと回答しました。特に、再生可能エネルギーや電車、電気自動車など、人権や環境問題に影響を与えない分野への投融資を求めていました。

しかし、実際には消費者には様々な課題がありました。例えば、お金の流れが見えにくいこと、銀行間での違いが見えづらいこと、銀行を選ぶ際に第三者的なアドバイスを与える主体がないこと、そしてほしい情報にアクセスするための仕組みができていないことです。

加えて、銀行業界も社会的責任を満たすために独自の活動をし、その結果を公表していましたが、それらの取り組みは独立性に欠けており、情報の信頼性がありませんでした。つまり、消費者は自分の銀行がいいのか悪いのかわからない状況にあり、またそれに対して銀行側にはあえてその状況を変えるようなインセンティブがなかったのです。そのために私たちはFFGを立ち上げ、消費者が銀行の持続可能性に対する取り組みについて容易に理解できるようにしました。

 

FFGを始めた当初の銀行のスコアは平均が22%と、日本の銀行と同じくらいの非常に低い評価の状況から始めました。改善のためにまず私たちが行ったのはユーザフレンドリーなウェブサイトの提供です。トップには銀行の総合スコアなど大まかでわかりやすい情報を見せて、より深く知りたい人はクリックして掘り下げられるような形式にしました。そんな取り組みを続けた結果、消費者からこれまで銀行へのメッセージを9000通以上集めました。

そのうち98%が失望的な意見で、3100通が一般的なスコアに対する、5900通がケーススタディに対するメッセージでした。また450のニュースや記事に掲載されるなど様々なメディアからの注目も集めました。さらに、銀行も含めたパネルディスカッションや、銀行のCSR担当者やチーフエコノミスト、政府の担当者なども交えた銀行との対話をそれぞれ3回行いました。そして、1年に1回スウェーデン銀行協会において全ての銀行を集めた会議を行っています。


銀行側の反応はというと、当初は皆懐疑的でしたが、競争的なスコアを発表すると銀行側から強い反応があり、スコア改善のために様々な取り組みが始められました。例えば投融資方針の改善やポジションステートメントの発表、エクエーター原則への署名、サステナビリティ担当者の増員などです。また7銀行のうち6つが投資ファンド別にどれだけ社会的影響があるのか情報公開して比較できるようにし、同じく6銀行が石炭への投融資を撤回するなど気候変動への取り組みを深めました。そうした中で、私たちは市民側の代表として銀行と建設的でオープンな対話を行いました。特にFFGは、銀行に評価を一方的に送りつけず事前の連絡をするなど、高い透明性を評価されました。基本的に友好的な関係を築いていたので、ある銀行のCSR担当者は、ポリシー対象のセクターの追加や明示、投融資において何を検討するべきか、ガイドラインを作成する際にFFGがいい参考になったと話してくれました。

 

このように取り組みを続けた結果、現在ではスコアの平均が47%と大きく上昇し、特に前年に下位に評価された銀行は翌年スコアを大きく改善しました。またオルタナティブな銀行では新規口座開設への問い合わせが大きく増加しました。


投融資方針と実態とのギャップは日本と同じく問題です。まず採掘業における人権のケース調査を行ったところ、7銀行のうち6つでギャップがあり、重大な人権侵害の可能性のある企業への投融資をしている銀行もありました。そこで、レポートの事前連絡の際にその実態について銀行に尋ねたところ、会社と銀行との間での対話で改善を図っているとの回答がありましたが、その大部分が信頼できないと判断したためレポートを消費者に公開しました。銀行はコンプライアンス意識が高くポリシー違反を指摘されることを非常に嫌うため、このようなケース調査の発表は有効です。化石燃料についてのケース調査ではパリ会議の前に調査を行い、預金先の銀行が化石燃料に投融資しているような恐竜銀行である、という内容のビデオを広く公開しました。消費者はそのビデオによってはじめて化石燃料への投融資の実態を知り、大きく反発したのです。さらに、国際調査では、世界中の銀行で投融資額の88%が化石燃料に投資された一方で、12%しか再生可能エネルギーに投資されていないことが明らかになりました。そんな中、一番再エネ率が高いと判明した銀行は、その事実に誇りを感じ、取り組みを継続したとのことでした。ですので、褒めるところは褒める、批判するところは批判する、というやり方で効果をあげていきました。さらに武器輸出に関するケース調査で、人権侵害や戦争行為に加担している国・企業に対して資金提供をしているかどうか調べた結果、4/7が違反しているとわかりました。よって、ポリシーがあるだけでは不十分で、実際に正しく投資先を決めるよう銀行に働きかけるべきなのです。


以上をまとめると、以下の点がスウェーデンでのFFGの成功の理由と考えています。

1)消費者が全体的に持続可能性への関心が高く、広がる土壌があったこと。

2)銀行が顧客からの不満に対して敏感で、また競争相手との比較で劣っているのを嫌がるという性質を有効に利用し、市場インセンティブを生み出したこと。

3)さらに銀行業界において、もともと社会的行動による顧客満足への貢献が重要視されていた中、運営やデータ提供を独立で客観的に行うFFGの方法論が許容され、対話によく対応するなど銀行の改善への意欲が高いことも追い風になったこと。

4)加えて、政治家を巻き込んで万一の場合、規制政策を打たせる可能性を示唆したり、消費者の代表として集めた意見を銀行にわかりやすく伝えたりしたこと。

 

最も重要なのは、銀行業界というパワフルでインパクトの大きいセクターにおいて、彼らが自ら行動を正していくようにし、それをサポートすることで、そのためには正面からプレッシャーをかけなければいけません。このような活動の成果の表れとして、最もイノベーティブな技術賞にノミネートされました。


今後は実践状況の調査を強化し、年金基金の運用の評価を行う予定です。また国際的にはノルウェーと協力したり、より多くの国にFFGを広げたりすることを考えています。

 

レポートの続きはこちらから!

 →http://asj.jugem.jp/?cid=31

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