2018.03.07 Wednesday

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    2017.03.22 Wednesday 17:49

    イベント報告「パリ協定発効で日本のエネルギー政策・産業はどう変わるか」

     

    ★イベントの開催内容はこちら→ http://www.aseed.org/2017/02/5229/

    ★登壇者資料・イベント録画動画はこちら→ https://www.facebook.com/events/265157193907771

    2020年以降の世界の温暖化対策を定めた「パリ協定」が発効され、世界中が地球温暖化問題に取り組むようになりました。

    このパリ協定を機に、今回のセミナーでは、

    そもそもパリ協定ってどんな内容?といった疑問から、今後日本はどのように取り組んでいくか、金融と経済が今後どのように動いていくかなど、様々な角度から話を聞くことが出来ました。

    これからを生きる私たちにとって必要な情報がたくさん詰まったセミナーとなりました。

     

    【第一部】パリ協定発効後の石炭火力・原子力・再エネのいま

     

    「パリ協定発効とCOP22報告」

    WWFジャパン 気候変動・エネルギーグループ長

    山岸尚之氏

    <パリ協定が意味するもの>

    このまま何も温暖化対策をしないと、産業革命前と比べて4℃くらい気温が上昇すると言われています。パリ協定では2℃を基本的な目標とし、1.5℃に抑える努力をしましょうとなっています。

    これを達成するために、今世紀後半までに化石燃料を使わないような世界に移行していくことがパリ協定で合意されています。

    各国は5年ごとに取り組みを改善することが決められているため、これによって目標を達成することを目指しています。

    <私たちとの繋がりはどうなのか>

    私たちの生活は大量のエネルギーによって成り立っています。私が使っているマイクや照明、交通機関などすべてにおいてエネルギーが使用されています。つまり温暖化問題と直結しているのです。

    国別排出量を見ると、一位は中国なのですが、一人当たりの排出量では日本は11トン(37位)で中国の5トン(55位)よりも多い。インドは一人当たり2トン(128位)しか出していないのに国別だと3位となっています。アメリカは国、個人とも高い。端的に言えばアメリカ人1人でインド人10人分の排出をしているのに、国別でアメリカが2位、インドが3位だから同じような取り組みをしてくださいというのはインド人が怒ります。何が公平なのかが見方によって変わってくるため難しいのですが、それを乗り越えて合意できたというのが大きいのです。

    そして何よりも心にとめておいておかないといけないことは、被害を受けるのは一番排出していない人たち、一番温暖化の原因を作っていない人たちなのです。温暖化の原因を作っている人たちと被害を受ける人たちの間で圧倒的な差があり、これを認識していないと解決に向かうことはかなり難しいため十分理解する必要があります。

    <海外のダイベストメント(投資撤退)は広がっている>

    現在、世界的に化石燃料からのダイベストメント(投資撤退)が進んでおり、総額として3.4兆ドル(約360兆円)にも上るとされています。オックスフォード大学やスタンフォード大学等の有名大学や、世銀や欧州復興開発銀行などの国際機関、そして国民の年金を運用するノルウェー政府年金基金などです。今後もこうした流れは加速していくでしょう。

    <日本がやるべきこと>

    日本の温暖化対策は順調ではありません。2050年までに80%削減すると言っているものの政策が伴っていないからです。その理由の一つに石炭火力が多いことが挙げられるのですが、建設予定のものが今後、全部建設されると5000万トン排出量が増えます。一般家庭の排出量は年間5トンくらいと言われていますので、日本の大きな課題と言えるでしょう。

    ではどうするべきか。一つのヒントはドイツで、排出量は減っているがGDPは上がっているのです。デカップリングと呼ばれており、日本でも今後このような経済成長を目指すべきです。

    また、身の回りで何ができるか。もちろん自分たちの生活を改善することは大事ですが、それ以上に大規模排出社の排出を減らすことが第一です。

    選挙に行き、良い政策を掲げている人を指示したり、銀行を選ぶといった「選択」をするということを私からは提案します。

     

     

    「世界における原子力、日本における原子力」

    原子力資料情報室 研究員 

    松久保肇氏

    <原子力の歴史>

    1980年に発表された過去の原発導入予測を見ると、一番高いシナリオはOECDのシナリで2015年までに4400ギガワットだと言われており、一番少ないシナリオでも1440ギガワットと言われていました。

    しかし、実際は348ギガワットでして、少ないシナリオと比べても3分の1程度の成長でした。スリーマイルアイランド事故、アメリカ国内での新設原発がなくなる、チェルノブイリ原発事故といったことが要因として挙げられます。1990年以降、原発の大増設は起きなくなり、その流れで福島第一原発事故が起きました。

    原発が成長しなかった理由は原発事故が起きたからだけではなく、原発建設コストが上がったということも上げられます。これは安全対策コストが上がったからです。

    <世界の原発の流れ>

    建設されなくなっているために、特に欧州、アメリカの原発メーカーは合従連衡が起きてきます。

    しかし、日本の場合は合従連衡が起きませんでした。理由としては1年に一基というペースで建設されていたからです。しかし、1970年に日本でも同じ場所に原発を立てることが出来なくなり、新しい原発が建てられなくなり、2000年代から原発輸出を考え始めるようになりました。現在もなかなかうまくいっていません。その一方で、ロシア、中国、韓国はそんな中でも元気で、特にロシアは海外輸出も成功しています。

    中国は原発が稼働中36基に対し、検討中のものを含めて236基建てる計画があります。

    インドなど新興国で原発が多く建てられようとしています。

    <日本の原子力の見通し>

    原発はコストが高く、建てるのが難しいので、いつかは手放さないといけない時期が来るのにもかかわらず、今の段階で原子力がなくなったあとのことを想定していません。現段階では使うこと、維持することしか考えていない状況はとてもまずいと思います。

    世界の原発コストが上がっており、日本の原発メーカーも勢いが失われているという状況から、日本の原発に関して将来はないのではないかと言えるし、日本の原発メーカーに対してもそろそろ廃炉に向かったほうがいいのではないかと思います。

     

     

    「約1年が経過した電力小売自由化制度の成果と今後の課題」

    国際環境NGO FoE JAPAN

    吉田明子氏

    <日本のエネルギー政策>

    日本のエネルギー政策は震災を機に大きく変わろうとしています。

    一つは電力システム改革。今までの地域独占の大手電力会社が独占して総括原価方式は、震災によってひずみがでました。他の地域から融通していれば計画停電も必要なかったのです。2013年にこのシステム改革が閣議決定されました。

    それから再生可能エネルギーに関しても2012年の再エネ固定価格買い取り制度の導入で、実際に導入量が右肩上がりで増えてきています。このようなことから新規の再エネ電力会社が参入するということが起きています。

    一方で2014年のエネルギー基本計画では「原発をベースロード電源 に捉える」というのが書き込まれましたし、2015年には長期エネ需給見通し で原発20パーセント以上というのが書き込まれました。

    そして現在では、託送料金で原発コストを補うといった議論が出てきたり、万が一電力会社がつぶれても再処理を続けていけるように国が関与した再処理機構が設立されたりということが起こっています。

    ※長期エネルギー需給見直し関連資料.資源エネルギー庁(2017/2/22)

     

    <日本の流れ>

    現在の日本の政策は火力と原子力推進となっています。原発が止まったため、石炭火力を建てようとしている。電力自由化のため、各社はできるだけ価格が安いエネルギーが欲しいため、安い石炭を使うようになってしまっています。(2012年から)

    現在は石炭火力が48基建設予定で、これは原発20基分以上のエネルギーを生み出すことになっています。

    今でさえ電力が足りていて、省エネ、再エネも進むのに果たして石炭火力は必要なのでしょうか。

    <私たちに何ができるのか>

    安さだけの選択をするのではなく、再エネを目指すことを明確にしている電力会社こそ選択する必要があります。このような理由から、パワーシフトキャンペーンを行っています。

    再エネを目指していることを相互に確認した会社のみをウェブサイトにて紹介しています。現在20社が参加しています。日本でも、再エネを使用している電力会社を選ぶ時代になっていきます。まだまだ電力会社を変える人たちが少ないです。電力会社の選択肢が増えてきた2017年こそ変えていく年になってくると思っています。

     

    【第二部】パネルディスカッション

     

    第二部では一部で登壇した三名に加え、A SEED JAPANから鈴木、西島が加わり「2050年に向けて、まずは2020年までに、私たちは何をしていかなくてはいけないのか」をテーマに議論を深めていきました。

    またA SEED JAPANの鈴木亮からは、「フェア・ファイナンス・ガイド」の紹介とともに、石炭火力発電への投融資を低減させるために銀行へのアクションを進めたいという話をさせていただきました。また、「福島からのパワーシフト宣言」と題して、福島の石炭火力・原子力・再エネの現状を共有し、原発事故のあった福島からこそエネルギーシフトをしていきたいとの話がありました。

    こちらは来月4月11日に行われる結イレブンにて、より詳しく議論を深めていきます。

    4月11日結イレブンの詳細はこちら→http://ameblo.jp/suzumenomiraichi/entry-12255270118.html

     

    (吉田)2020年まであと3年です。でも3年間で出来る事はたくさんあります。ここからの3年間は本当に大切です。そしてその動きを作り出すのは市民である私たちです。

     

    (松久保)日本は、再処理によって核兵器の材料になったり、原発の燃料になるようなプルトニウムの取り出しを認めているのですが、2018年に日米原子力協定が期限切れを迎え、見直しされるタイミングで、私たちは再処理を止めたいと考えています。皆さんともぜひ協力してやっていきたいです。

     

    (山岸)WWFでは2011年にも自然エネルギー100%のシナリオを出していたのですが、その当時はそんなことできないという声が圧倒的に多かったです。今でもそのような声はあるのですが、企業が目指したりと実現に向け動き始めています。

    また再エネは安定しないという声もある中で、昨年の1日(5月4日)だけですが、九州電力で使われた電力の78%が再エネで賄われました。今までの電力系統ではありえないことなのですが、それを達成できたということは日本においても大きな一歩となったのです。

    自然エネルギー100%は全く不可能な話ではないと思っています。

    WWFエネルギーシナリオの詳細はこちら→http://www.wwf.or.jp/activities/climate/cat1277/wwf_re100/#energyscenario2017

     

    <今回のイベントを振り返って感じたこと>

    ライターの長島遼大です。

    私たちはこれからどのように生活していくべきかを考えるきっかけとなるセミナーになりました。

    A SEED JAPANとしても、今年はパワーシフトに力を入れていきます。多くの人が、自分たちの使う電力に関心を持ち、自発的に選ぶ、その面白さに気づくようなきっかけ作りをこれから進めていきたいと思っています!

    登壇者の山岸さん、松久保さん、吉田さん、そして参加者の皆さんご参加いただき誠にありがとうございました。


     


    2018.03.07 Wednesday 17:49

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