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フェア・ファイナンス・セミナー ポートフォリオ低炭素化の最前線〜動き始めた日本の金融機関〜

フェア・ファイナンス・セミナー

“ポートフォリオ低炭素化の最前線

〜動き始めた日本の金融機関〜”

 

2017年7月12日(水)19:00〜21:00

主催:A SEED JAPAN、「環境・持続社会」研究センター(JACSES)

 

先月、A SEED JAPANが運営団体をしているFair Finance Guide Japan(FFGJ)は、海外の石炭火力発電プロジェクトに対する日本の民間金融機関からの投融資実態について、ケース調査報告書にまとめて発表しました。それに合わせて、先月12日に、石炭への投融資を含めた、金融の業界における社会の低炭素化に向けた取り組みの現状の把握・今後の発展の議論を目的として、金融機関・NPO/NGOなど様々なステークホルダーの皆様を迎えてセミナーを行いました。

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)による国連責任投資原則(PRI)への署名や海外の主要金融機関による石炭産業からのダイベストメントの動きなど、金融の業界において「環境・社会・ガバナンス」(ESG)に配慮した投融資を行おうとする流れが加速しています。その一方で、FFGJのレポートにもある通り、日本の金融機関からの石炭産業への莫大な資金の流れは続いています。

そのような状況において、世界の金融がどのような方向に向かおうとしているのか、金融業界はどう環境・社会の価値向上に貢献できるか、そして日本の金融機関はどうあるべきでそれに私たちはどう行動できるか、専門家の方々からのお話を中心に深く考えることができました。

ここではゲストの皆様のご講演とその後の質疑応答についてその内容をご報告します。

 

星オルタナ総研所長/首席研究員・ニッセイ基礎研究所客員研究員 川村雅彦氏星

「ESG投資、投資ポートフォリオの脱炭素化の最新動向について」

 

<ESG投資に関する近年の動向>

川村氏によると、近年、誰にどう投資するかを考えるSRIから、投資家・投資そのものの環境・社会的影響を考えるESG投資へと金融業界の流れが変化しているといいます。実際に、ESG投資額がここ4, 5年のうちに世界全体で1.7倍に増加し、プロの運用のうちESG投資が総額の1/4を占めるようになりました。今後投資プロセスの意思決定にESG投資を入れていく傾向が一層強まると考えられています。

お話の中で特に印象的だったのは、ESG投資が重視されるようになっているこの流れは、従来の金融業界の常識から考えると、パラダイムシフトが起こったようなものだ、ということです。というのも、かつてESG投資は、短期的には投資の最大化に邪魔であるため受託者責任に反する、とされてきました。しかし、現在は転換が生じ、長期的にESGを考慮しないと受託者責任に反する、とされるようになったのです。

実際の動きとして、世界で1756の機関がPRIに参加しており、日本でも、ESG考慮が被保険者の長期的な利益につながる、としてGPIFが署名したのを皮切りに、56機関が署名を行なっています。また、アメリカ労働省による年金運用のための法律(エリサ法)においても、20年にも及ぶ長い議論の末、ESGは運用の際考慮すべき適切な要素であると明確に位置づけられました。

 

<金融業界における低・脱炭素化の背景>

まず昨年パリ協定において2℃ターゲット、つまりCO2濃度450ppm目標が設定されました。その達成のためにはカーボンニュートラル(排出量と吸収量のバランス)を目指さなければならず、結果として過去からの積算として排出量の上限が決定されることになります。そうすると利用できない化石燃料が存在することになり、それらは資産価値がなくなる、つまり座礁資産となってしまいます。もし金融機関が化石燃料に投資を続けてしまうと、いつかカーボンバブルがはじけて投資が回収できなくなる可能性が高まっています。そのため、化石燃料、特に気候変動への影響の大きい石炭からの投資の引き揚げ(ダイベストメント)が進んでいるのです。

こう行った考えに基づいて、先月発表されたG20のTCFD(金融安定理事会の気候関連財務情報開示タスクフォース)では、金融機関が分かるように企業のリスクと事業チャンスの両側面を財務インパクトとして発表すべき、と提言されました。そしてノルウェーやカリフォルニアの年金基金を始め、日本以外の金融機関の多くが石炭からのダイベストメントの実施を宣言しており、エクソンモービルが主に資金供給を行なっているロックフェラー財団でさえも、気候変動に対するリスクへの対応を毎年公表すべき、との議決が採択されました。そのような世界の流れがありながら、日本の政府や金融機関は石炭のリスクを直視せず、投融資を進めているのです。

 

<投資機関のポートフォリオの低・脱炭素化に向けた具体的な取り組み>

そもそも、環境・倫理に配慮することよりも、純粋に財務リスクを低減するためにポートフォリオの低・脱炭素化を行うことが必要である、との認識が金融機関にあるため、自らの投資によって生じうる炭素排出量を計算する必要性が高まっています。先に述べたTCFDの提言を始め、スチュワードシップ・コードでも金融機関が気候変動リスクについて勉強・理解することが必要だとされています。

また運用機関の間での取り決めとして、投資によるCO2排出がいくらか公表するモントリオール・カーボン・プレッジ(炭素誓約)が定められ、消費者ではなく投資家の環境影響・意思決定が問われるようになっています。さらに実践的に、脱炭素化に向け行動する企業の連合である脱炭素連合ができています。

 

社会全体の今後の流れとして、金融業界によるESG投資と、それを受けた企業側のCSR、ひいてはESG経営とが進んでいく中で、お互いの方向性の確認のために金融業界と企業のESGに関する対話が一層重要になっていくだろうとおっしゃっていました。

 

 

星りそな銀行信託財産運用部グループリーダー 松原稔氏星

「投資家、特にESG投資家が何をどのように考えて行動しているか」

 

<ESG投資が進んだ背景>

そもそも松原氏は、2003年のりそなショック(自己資本比率の低下を受けた公的資金の注入の事態)を受けて、社会にどのように貢献していくか考えるようになったそうです。そして2006年にPRIが制定され、社会にとって必要な運用機関となる、つまり儲かることだけでなく世の中の利益になるような投資をするには責任投資が必要だ、との考えに至ったといいます。ただ、かつて銀行の常識は社会の非常識である、と言われてきたように、金融業界においてESG投資は軽視されてきました。その中でGPIFのPRI署名は、社会的にESG投資を促進する起爆剤となる可能性があり、SRI・ESG投資家にとって重要だと考えられています。

また、かつては超短期的な足元の損益のみ熟慮されてきましたが、リーマンショックを受けて、長期的な視野で、お金だけでなく物事の考え方も重要な観点となるという点で、ESG投資が広がっているとも考えられています。さらに、ESG投資によって、長期リスクの低減や社会に必要とされることによる企業成長力の向上、といった効果が生じることで株価の上昇にも繋げられることから、投資家にも受け入れられています。

 

<りそな銀行が行なっている具体的な取り組み>

まず、どのESG課題を評価するか、世界経済フォーラムなどを参考に、3つのリスク要素として気候変動・サプライチェーン・取締役構成、それにパーム油とコラプションを加えた5つのマテリアリティーを選定し、それらの分野に関して企業活動の評価を行なっています。評価が低い企業に対しては、株主としてその改善を求めて取締役選任・報酬・買収防衛策への議決権を行使できますが、その行使より前に企業側からの働きかけを受け、ESG課題について対話を行なっています。

具体的に、気候変動に関する、特に座礁資産のリスク・機会の評価などについて尋ねる質問状を企業に送付し、その回答をもとに情報を開示し、対話を行なっています。またサプライチェーンについては、国連ビジネスと人権に関する指導原則(UNGP)に参加しているため、その分野について評価し企業と対話しています。さらに、りそな銀行としてESG投資を継続・強化していくための仕組みとして、毎週会社のマネジメントの方々と責任投資ミーティングを開き、環境・社会・ガバナンスの状況などを議論なさっているそうです。

 

最後に、
「私たちは、地球を先祖から受け継いだのではなく子供達から借りているのです。」
というネイティブアメリカンの教えを引き合いに、ESG投資・PRI活動を行うにあたっての矜持を示してくださりました。

 

 

星「環境・持続社会」研究センター(JACSES)プログラムコーディネーター 田辺有輝氏星

「GPIFの石炭投融資実態・民間銀行の海外石炭火力発電事業プロジェクト融資実態に関するレポートの紹介」

 

<FFGJレポート発表の背景>

脱炭素化を進めていくにあたって、石炭採掘だけではなく石炭火力発電の考慮も重要であり、IEA(国際エネルギー機関)のシナリオではエネルギー関連によるCO2排出は今年2017年がピークとなるべき、と言われています。また石炭火力発電所は一旦建設されると数十年にわたって運転が想定され、また莫大な投融資をもとに発電プロジェクトが進められるため、銀行融資が果たす役割は大きなものです。そのため、石炭火力発電プロジェクトを考えるにあたって、銀行融資を最重要視している、とのことでした。

金融業界における関連する直近の動きとして、世界2番目の年金基金であるノルウェー政府年金基金が6月、投資先金融機関のポートフォリオに基づくCO2排出量開示を求めると発表しました。この年金基金は多くの日本大手企業の1%以上の株式を保持していることから、大きな影響を与えることが予想されます。また欧米系の銀行では石炭火力発電事業への投融資を禁止する動きが活発化しています。

 

<GPIFに関するレポートの紹介>

調査の対象となる企業は次の二つのリストによります。

1. ノルウェー政府年金基金が特定した石炭関連企業である、活動の3割以上が石炭関連である発電企業

2. 石炭資産を保有している企業リスト(The carbon underground)に入る企業

これらの企業に対するGPIFからの投融資額の調査を行なった結果、計1兆7955億円の投融資がされていることが判明しました。GPIFは1兆円のESG投資をすることを宣言していますが、それ以上の額を石炭関連に投資していることになります。レポートの発表後にGPIFと議論をしたものの、運用によって生じうる民間活動への影響に留意する、との原則により、石炭セクターという特定の事業を除外することはできない、と回答されました。

またGPIFはESG投資3指数(2つの総合ESG指数と1つの社会関連指数)を公開していますが、先進国で2番目の国内外石炭関連事業をもつ丸紅のほか、出光興産・中部電力・関西電力・九州電力が優良企業とされているなど、石炭関連においては企業の選定に問題があるとのことでした。

 

<海外石炭火力発電プロジェクトへの投融資に関するレポートの紹介>

これまで他の機関からも複数のレポートが出されていますが、それらは企業単位での評価であり、個別プロジェクトベースでの評価を行っている点で新しいレポートとなっています。JBIC・NEXIのプレスリリースをもとに評価を行なった結果、三菱UFJ・三井住友・みずほの順に投融資額が大きくなっています。みずほの投融資額が低くなっている要因は、途上国石炭発電新規事業への投融資を行う際に、プロジェクトを統括するプラントメーカーごとに投融資する金融機関が異なっており、三菱・日立の案件では三菱UFJ、東芝のでは三井住友、商社などのプロジェクトファイナンスにおいては種々の銀行の連合、となっているためのようです。

 

このように、石炭への投融資を削減していく世界の潮流とは逆行した日本の金融機関の投融資の実態が明らかになりました。この現状を変えるべく、各金融機関には石炭関連の投融資をやめるよう提言するとともに、実際にやめてもらうよう金融機関へのメッセージを送ることが重要である、と話されていました。

 

 

星レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)日本代表部 川上豊幸氏星

「金融機関に対するエンゲージメントによるインパクト事例」

 

<RANの活動の背景・現状>

川村氏・松原氏のお話の通り、投資では低・脱炭素化にむけた大きな流れができているとのことでしたが、銀行の融資についてはまだ問題のある部分が多く、RANではその点に注目しています。RANには森林プログラムと気候変動・エネルギープログラムの大きく2つのプログラムがあり、森林プログラムでは紙・パーム油・ファイナンスについて、気候変動・エネルギープログラムでは金融について重点的に活動しています。両プログラムで金融を活動対象にしているのは、従来のような買い手の事業会社への働きかけだけでなく、金融機関からのプレッシャーも重要だ、と考えるためです。

そもそもこれらを始めたきっかけは、チャド・カメルーンにある石油パイプラインが森林破壊・住民の人権侵害を行っていた問題で、そのプロジェクトにCITI Bankによる融資が行われていており、その開発を中止させるために融資をやめるよう運動を行なったことでした。その後は石炭業界のレポートカード、石油パイプライン事業への活動などを行なっています。これらの活動の成果として、Bank of Americaによる石炭輸出禁止へのコミットメント、CITI Bankの環境政策導入など、多くの銀行の投融資政策・融資停止を勝ち取っています。直近の活動では、石炭・オイルサンド・深海石油開発・アメリカからの天然ガス輸出を対象とした「エクストリーム化石燃料」に関するレポートを発表されました。その結果を見ると、日本の金融機関は軒並みF評価であり、中国の金融機関と同じレベルにとどまってしまっています。

 

<日本における森林のファイナンスに関する活動の紹介>

森林保全は気候変動の観点からも非常に重要であると指摘されました。というのも、産業革命以降のCO2の1/3が森林減少に由来しており、森林伐採・劣化の防止などの森林保全によって30%の排出量削減が可能であるそうです。加えて、熱帯林に分布している泥炭地を開発することによるCO2排出も大きな問題となっています。泥炭地では水面下に植物の死骸由来の炭素が大量に蓄積されており、泥炭地開発における抜水の際にCO2として放出されるため、520万haの総面積から石炭火力発電所70基分に相当するCO2排出が生じる可能性があります。また丸紅がインドネシアで行っているパルプ開発から森林・泥炭地火災が発生し、大気汚染などが大きな問題となりました。このように、石炭だけでなく泥炭地開発も座礁資産となりうると仰っていました。

これらの問題を食い止めるため、金融機関の株主に向けたレポートやデータベースを作成・公表しています。それらの中ではパーム油・紙パルプ・天然ガス・木材に関する問題企業に対する融資額をまとめており、メガバンク3行からの融資額121億ドルにのぼるなど、日本の金融機関からの融資額が最も多く、次いでマレーシア・中国・インドネシア、と続いています。

 

<これまでの活動の成果と課題>

海外では銀行の融資政策導入などの成果が得られています。その一方、日本では透明性を求めているもののあまり取り組みが進んでいません。特に泥炭地開発が座礁資産となってしまう可能性について強く働きかけており、金融機関でもCSR担当者レベルは興味・問題意識を持つことが多い一方、マネジメントレベルにまで届かない現状があります。そのため金融機関への投資家側から働きかける方が早いのではないかと考えています。このような活動は成果が出るまで時間がかかってしまいますが、CFD・パリ協定などを受けて金融業界にも動きが見えてきているのでさらに加速させたい、とのことでした。

 

 

 

星質疑応答星

Q1. 石炭火力及び座礁資産リスクに関する世界的な動向の話がある中、なぜ日本や韓国の政府が未だに融資をしようとするのか、登壇者の皆様の見解を聞きたい

A1.(川村氏)単純にそれらの政府が鈍感なだけではないでしょうか。気付かないとリスクは認識できないものであり、5〜10年はこのままでよいと考えているように思います。正直リスク認識が相当甘いと言わざるを得ません。今年の筑後や昨年の北海道など豪雨がありましたが、それらが普通になって、慣れてきてしまっており、気候変動リスクと結び付けられていないと感じます。金融機関やステークホルダーが言わないとわからないでしょう。
      (松原氏)企業がサステナビリティを考えずに足元のフローだけを考えすぎているのではないでしょうか。企業の社長の任期は3〜5年と短いため、その間の成果をあげたいと考えると長期のリスクを軽視してしまうため、まず企業全体のガバナンスから変革し、続いて考え方の変革、そして長期の視点の導入、と徐々に変えていくことが重要です。加えて投資家も長期の視点を欠いており、考え方を変えるべきです。
      (田辺氏)発電事業者とプラントメーカーの考え方の違いのためでしょう。発電事業者は運転開始から終了までの40〜50年間について考えなければならないため長期を考えます。一方でプラントメーカーは建設計画を受注する、つまりプラントを売ればその後のことは関係がないため、短期しか考えません。今の日本などではプラントメーカーに重きが置かれているため、短期重視になってしまっているのではないでしょうか。
      (川上氏)海外での案件はJBICやJICAなど政府機関のバックアップがあって損がないためにそれに乗っかっており、また国内でも政府の動きが緩いと感じられることが原因ではないでしょうか。本来は40年後を考えて判断すべきですが、リーマンショックのときのように気づく人は気づくが気づかない方が当面穏やかな生活が続くため、現在は長期の判断がされていません。やはりガバナンスなどについてきちんと主張する人が必要です。

 

Q2. 話に上ったノルウェー、カリフォルニアの年金基金のダイベストメントについて、背景には議会の動きがありましたが、日本の国内での国会の動きなどはないか

A2.(松原氏)GPIFについて、現行法律ではESGの個別課題に立ち入ることは不可能です。そのため、PRIに署名していることを使って働きかけるなど、投資機関がエンゲージメントしていく必要があります。
      (田辺氏)気候変動政策においては共産党が1番熱心であり、議員レベルでは民進党に一部関心のある方がいるものの、全体的には残念な現状です。
      (川上氏)GPIFの管理・運用方法については議論があります。

 

Q3. 石炭からのダイベストメント後のエネルギー需給について意見をききたい

A3.(川村氏)燃料用途・材料用途ともに化石燃料はいずれ座礁資産化し、再生可能エネルギー(再エネ)しかないでしょう。それに向かう流れとして、ゼロエミッションビークル(ZEV)含め使う方がどう変わっていくか、不安定な電源のマネジメントとして分散型エネルギーにどう変化させるか、ゼロエミッションビルディング/ハウス(ZEB/ZEH)がマーケットにどう普及されていくかなど、再エネのfeasibilityの議論が重要です。
      (松原氏)投資家はエネルギー政策の議論をせず、経営としての様々なリスク側面の一つとしてのCO2排出の認識の話が中心になっています。
      (田辺氏)現在の新規導入の6割が再エネであり、その傾向を更に進展させて、電力全体での再エネの比率をあげていくことが重要です。
      (川上氏)再エネしかない一方で、安価なパーム油を発電に使うなど、バイオマスが森林破壊に結ばないか懸念しています。

 

Q4. 1) TCFDの提言を受けた11社の銀行の判断などを念頭に、投資や融資先企業における情報開示をどう思っているのか

        2) Science Based Target(SBT)についてりそな銀行はどう考えているのか

A4.(松原氏)

         1) エネルギー・素材企業は自然資本を利用しているなど、企業・業種によってマテリアリティーが違うため、マテリアリティーを設定した理由やそれを受けてのKPIなどについて対話を行なっていきます。またチャレンジな話にはなりますが、政府系銀行にも働きかけるべきだと考えています。
         2) Scope1からScope3への移行を重視しており、気候変動についてはカーボンディスクロージャープロジェクト(CDP)に未回答の企業へその理由やリスク認識に関するレターを書いています。特に業種によってはScope1よりもScope3の方が排出量が多いこともあり、Scope1だけではいいかどうか判断しにくいため、できるだけScope3に従ってほしいと考えています。今後はターゲットを持っていない企業がどういう取り組みの中でそれを実現しようとしているのかが重要であり、情報開示の質と量をあげていきたいです。

 

author:asj, category:エコ貯金/フェア・ファイナンス, 16:13
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【2016/12/5開催レポート◆曄崗暖饉圓離船ラで銀行をエシカルにする意義と可能性」

ディスカッション
「消費者のチカラで銀行をエシカルにする意義と可能性」

 

シンポジウムの後半では、国際的な農と食の問題に詳しいAMネットの松平尚也氏、日本のグリーンコンシューマー運動をけん引してきた環境市民の破椣蘋源瓩砲眦价鼎い燭世、エシカルな消費と金融をいかに実現していくか、糸口を探りました。

 

コメント Ь省疹位藥瓠AMネット)

 


GMOについて、その種子の開発には膨大な時間と費用がかかるため、投融資の引き上げはインパクトがあります。ただ海外でのモンサントへの投融資には多国籍金融企業が名を連ねており、なぜGM技術が世界的に支持されているのか、GMに価値を与えている世界的な食と農のシステム・ガバナンス・政治力学を考慮すべきです。
GM企業の論理はエシカルからほど遠いところにあります。継続的な種子購入、耐性雑草の問題などがある大規模工業的農業であるにもかかわらず、GMOは環境に良い持続可能な農業と謳われているのです。また日本におけるGMOの問題として、安価であるために家畜飼料や甘味料などで表示もされずに大量使用されていることがあります。
世界での流れを見てみますと、欧米ではGM表示の義務化を求めるなどGMO消費への疑問の声があがっています。また2007年の食糧危機以降、持続可能な農業や小規模農家への投資の動きがあり、2008年の食料サミットで食糧安全保障に関して市民社会・農業組織の関われる構造改革が行われました。FFGでもこのような持続可能な農業に向けての取り組みについて考慮すべきではないでしょうか。
最後に、エシカルな金融を広げる運動と持続可能な食と農とをつなげることにおいて、毎日の食卓との関係させる重要性を感じます。というのも、日本の食費では外食・中食が大きな割合を占めますが、そこでは表示がされていない抜け穴である場合が多く、知らないうちにエシカルでないGMOを消費してしまっている可能性が高いためです。


コメントに対する回答:

(田辺氏)日本の投融資の改善だけではGMはとまりませんが、金融は一つのきっかけとなるアプローチですので、購買の選択と銀行の選択を同時に行えることが重要です

 

(König氏)EUやスウェーデンではGMOにすでに強い規制がかかっているので、消費者はその危険にさらされていません。しかし、もしそのような事実が示されれば、大きく批判がされるでしょう。また消費者は銀行からお金が流れているという問題の存在自体は知っているはずです。しかし重要なのは、銀行にいかにわかりやすく消費者からの関心を伝えるかということではないでしょうか。


コメント◆破椣蘋源瓠粉超市民)

 


私は環境問題の根本的な解決のためには私たちの生活や経済を変える必要があると考え、1990年代からグリーンコンシューマー運動に関わってきました。しかし、当時は企業からの情報公開が乏しい状況にあったため、地域のスーパーなどの商品販売がどれだけ環境に影響があるかわかるように、地域版の情報を調査し、ガイドとして公開しました。その結果、日経新聞で大きく掲載されるなど大きな反響がありました。その後同様の取り組みが各地に広がり、それらをまとめて全国版のガイドを製作するに至りました。
現在の活動ですが、加工食品・お菓子・衣類など普段買うものを作っている企業の評価を行おうとしています。その評価を公表するために、スマホに対応したプラットフォームを作っているところです。
König氏へ一つ質問で、FFGで各銀行の評価を示しているとのことですが、それと同時に銀行口座の移し替えを推奨する活動も行ったのでしょうか。


コメントに対する回答:
(König氏)私たちは二つの行動を消費者に求めました。一つは銀行の評価や調査結果について意見を表明すること、そしてもう一つは口座を移し替えることです。ただ実際に移し替えが行われた可能性は少ないでしょう。しかし、口座を移し替えるかもしれない、と銀行側に伝えるだけでも十分銀行にとって脅威であり、効果があるのです。そのように銀行側に改善の意図があれば移し替えが行われなくても十分ですが、もしそうでない場合はより踏み込んで移し替えを推奨する必要があるでしょう。


(田辺氏)日本での現状としては、オルタナティブな銀行は投融資方針をほとんど掲げておらず評価ができていないので、まずろうきんへ投融資方針を掲げるよう働きかけを行っています。またもう一つの問題として、各銀行の評価は示しているものの、その上でどの銀行を選べばいいのか、その選び方も示せていません。今アドバイスするとすれば、スコアが高い銀行か、総投融資額が少なくインパクトの少ない銀行を選ぶのが良いのではないでしょうか。もしくはFFGJに頼らずに、ろうきんや信金を選ぶのもいいでしょう。


会場質問
Q.原発問題と同様に、金融に対する活動に対して政治的な圧力はかかっているのでしょうか。もしあるとすればどのように対応しているのでしょうか。
(König氏)スウェーデンでは、政治的圧力があるとわかった場合に国民が大きな批判的反応を見せるため、議員も市民からの票を獲得するためにそのような行動には出にくくなっています。ですので、日本で政治的圧力が存在してしまっているのは、国民の反発が不十分だからなのではないでしょうか。もしくは社会的な問題と私たち消費者とのつながりを明示しきれていないのだと思います。
(破椹瓠貌本の風土では、一般市民の声が届かず、力のあるものの声のみが影響力を持ってしまっています。その解決にはアドボカシーを高める、また特定の市民が意見表明に対する圧力を受けないような仕組みを作ることが必要です。特に、NGO・NPOが力を持つのではなく、一市民が発言できる世の中にすべきです。
(松平氏) アメリカではGM反対運動が盛り上がっている一方で、その運動を行なっている団体に対して予算がつかないなど、批判的活動への圧力があります。そんな中、アメリカでは潮目が変わっており、全米でのムーブメントができつつあり、一層拡大するためにも、市民社会や研究者がいかに連携して未来社会のために声を上げるかを考えなければいけません。また、これまでの活動を通じて実は食品企業が消費者に敏感であるとわかったので、市民社会としての立場を明確にすれば何か変化を起こせるのではないでしょうか。


Q.FFGでは一般消費者に使ってもらう仕組みの整備に課題があると感じます。特に、FFGの普及・活用以前に、消費者に対する金融教育を行う必要があるのではないでしょうか。
(田辺氏)まず消費者への普及に向けた取り組みとして、まず意識の高い人々へケース調査を提供することで金融について問題意識を持ってもらい、そこから詳細に興味を持ってもらうようにしました。それについては一定の支持が得られています。一方で金融教育についてはまだ課題があります。
(西島) A SEED JAPANでは消費者へ基本からの金融教育の活動をしています。具体的には、エシカル消費への関心を持っていない人々向けに金融に関する小規模セミナーを定期的に開催しています。また現在学生向けの金融教育冊子を作成中で、来年の春頃に完成する予定です。
(König氏)まず、スウェーデンでは350をはじめとして、若い人々がよりエンゲージしているため、若い世代をターゲットとする日本の方針は正しいです。既に意識の高い人々はランキングなどわかりやすいツールを求めていたため、FFGはそれにマッチしており、自然と受け入れられるものでした。FFGの社会的な認知を高めるためにはトリクルダウンが必要です。つまり、意識の高い人々が消費者の取るべきロールモデルを形成し、それを一般市民へと広めていくのです。


Q. 伝統的な消費者運動が続いていますが、今後どのように関わっていくのでしょうか。
(破椹瓠謀租的な消費者運動が残念ながら近年コア層の高齢化により弱くなってきている中で、今後どのように運動しようか考えています。かつてグリーンコンシューマー運動では目的や手法を明確に提示したことで伝統的な消費者運動の人々が主体的に協力してくれた経緯がありますので、今後もそんな手法が有効でしょう。また現在行なっている「消費から持続的な社会を作る市民ネットワーク」では、人身売買やフェアトレードなど様々な専門性を持った団体と、伝統的な消費者団体が参加しています。ということは、消費者運動は様々な層に受け入れる可能性が高いのではないでしょうか。

 

Q. 大手銀行はグリーンウォッシュをはじめとしてイメージを作ることが上手なので、FFGのツールが銀行の良いイメージ作りに利用されてしまう恐れがないでしょうか。
(König氏)FFGの評価は2点において価値があると考えています。一つは銀行の約束のマッピングとして、これからのスタートポイントとなること、そしてもう一つは方針が実践に反映されているかどうか、監視を通して明らかにできることです。今後は銀行との対話において、約束に対する実践の有無の解釈に関する認識の差が現れて、議論が白熱するのではないかと予想しています。


Q. スウェーデンで銀行が消費者の意見を受け入れる風土が醸成されていたのはなぜでしょうか。また今後の一層取り組みを深めていくために、銀行同士の連携が有効ではないでしょうか。
(König氏)スウェーデンでは伝統的に、自分の決定に関する根拠や説明責任を、政治家だけでなく企業に対しても求める風土があります。また銀行が、私たちを敵対者ではなく協力者と捉えて、FFGを銀行のCSRを示すツール、今後のCSRに関する行動の指針として活用しているのも受け入れられた理由でしょう。銀行はCSRの強化が利益の増加につながり、また一方で持続可能性の無視は長期的なリスクになると認識しています。銀行は営利企業として、持続可能な事業モデルの確立と同時に黒字化を行うため、まずは顧客を最も重視しています。実際に銀行側に行動させるためには、顧客が持続可能な事業を求める意見を届けるなど、消費者の協力が必要です。
銀行同士の連携ですが、スウェーデンでは実際に行われています。それは金融業界全体でリスク認識を共有する必要があると考えているからです。

 

Q. スウェーデンにおけるFFGの成功は、ツールとしての優秀さに加え、FFGが消費者の代表であるとのコンセンサスがあったことによるのではないかと思います。一方日本においてはそんなコンセンサスがない上、そもそも市民が銀行を変えられないと無力感を持っていると感じます。その無力感を払拭し、市民の力を実感・強化するために、市民に向けた教育やキャンペーンをどう行っていけばいいでしょうか。
(松平氏)個々の団体や業界の中で考えるだけでなく、横の連携を持って、地域レベルでグローバルな問題について、オルタナティブを議論する場が必要だと思います。
(破椹瓠砲つてのグリーンコンシューマー運動の際、企業・行政にない情報がNPOにあるとして、企業から多くの助言を求められました。これから社会を変えていくには、民間企業や行政でなく、市民社会による独自調査が重要でしょう。
(田辺氏)スウェーデンと程度の差がありますが、現在6銀行とは友好的に活動できてきています。こういった有効なツールをもってすれば他の分野でも変えられるとの確信を得ました。
(König氏)市民社会が持続可能性の実現のために大きな力をもっている、ということを情報として示し、単純な形で消費者を方向づけることが非常に有効です。また、世界的に銀行業界において持続可能性の重要性が認知・共有されている、という国際状況について、政治家から指摘させるのも有効でしょう。

 

 

Fair Finance Guide JapanのWebサイトはこちらから

fairfinance.jp

 

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【2016/12/5開催レポート 曄崟こΔ乏悗屮┘轡ル消費〜スウェーデンの銀行を変えた消費者のチカラ」

2016年12月、Fair Finance Guide(以下FFG)の日本版のウェブサイト(以下FFGJ)の立ち上げから2年が経ったことを記念して、国内外から様々なゲストをお呼びして、東京・京都の2か所、計2日にわたって、シンポジウムを開催しましたきらきら

 

 

海外のゲストはスウェーデン消費者協会のJakob König氏kyu

7000通を超える銀行へのメッセージを集め、また銀行業界での社会性に関するルール作りのため様々な運動を仕掛けている、そんなFFG Swedenの運営を主導しています。

また国内からも、様々な分野にて消費者運動をけん引されてきたゲストの方々をお招きしました!


これまでのエシカル消費にとどまらない、エシカルな銀行の選択によるお金の流れの改革のために、日本の消費者は何ができるか、何をすべきかを深く議論することができました。


ここでは、2日目に京都にて行った講演についてご報告します。

 

 

西島香織(A SEED JAPAN事務局長)
「開会挨拶:本シンポジウムの趣旨と概要」


FFGは銀行の投融資について評価し考えるツールとなっており、これまでの調査から非人道兵器、タスマニア州の森林破壊などの環境破壊につながる業界に対して銀行の投融資がなされていることが明らかになりました。

そういったお金の流れを変えるためにも、これからは銀行の安全性、つまりつぶれないかどうかだけではなく、社会性も考慮していく必要があります。

 

さて、エシカル消費と食事を金融の視点から考えてみます。

 

これまでエシカルな消費者はアクション、つまり食べない・買わないなどの消費行動を通じて意思表示を行ってきました。その一方で、そういった皆さんの預金を通じた意図しないお金の流れも存在している現状があります。

だからこそ、商品の社会性だけでなく、銀行の社会性も考えることが必要なんです。特に、銀行を変えることには大きなレバレッジがあります。というのも、銀行からのお金の流れを変えることで、エシカルな消費者だけでなく、そうでない消費者のお金の流れも同時に変えることができます。
今回は、スウェーデンでどのような取り組みがあり、また日本でこれからどういう取り組みの予定があるのかについて、ゲストの皆様からお話をいただきたいと思います。

 

 

田辺有輝氏(「環境・持続社会」研究センター(JACSES))
「FFGJの2年間の取組みの成果と課題」


FFGは元々2009年にオランダの消費者団体を中心に設立されたもので、2014年に日本を含む7か国、その後さらに2か国を加えて現在9か国へ活動が広がっています。

 

 

現在は資産額の多い日本の上位7銀行について投融資方針を評価。評価スコア改定を複数回にわたって行いました。
その銀行の評価の総合点を見ると、三井住友トラストが一番で、それに大手3メガが続いており、農林中金や日本郵政は非常に低いスコアとなってしまっています。このようにスコアで比較することで、どの銀行がよりよく取り組んでいるかがわかりやすく見える上、銀行間で競争意識が働きます。

過去2年間のスコアの変化を見てみると、スコアが上昇した銀行が複数あります。このうち三井住友トラストはエクエーター原則に署名し、りそなも国連グローバルコンパクトに署名するなど取り組みを深めました。

 

ところで、銀行が方針を掲げると、それによって高いポイントが得られて、銀行に対する評価が上がります。このこと自体はいいのですが、一方で実際の投融資行動との間にギャップが生じている懸念があります。そこで投融資の実情はどうなのか、ケース調査を通して確認しています。

しかしながら銀行は、ケース調査よりもむしろ預金者からのメッセージを強く気にしています。

 

「日本の金融機関による遺伝子組み換え食品関連企業への投融資実態に関するケース調査報告」

(12/4では田中滋氏が、12/5は田辺氏が報告)


先月(注:2016年11月)には遺伝子組み換え食品(以下GMO)に関するケース調査も公表しました。GMOのリスクは多く指摘されています。例えば遺伝子組み換え(以下GM)の中で意図しない効果が生まれた場合に、それが自然界に浸透して汚染が広がる危険性があります。

また人体にも疫学的に影響があると分かっていて、アレルギー・免疫不全の患者がGMOをやめたら改善したという例があります。さらに農家にとっても、種子を毎年購入しなければならず、経済的な負担が大きく、世界銀行が途上国農家の経営の観点からGMOに疑問があると発表しました。

これらの問題があるにもかかわらず、世界中にGMOが広まってしまっています。

一つの原因として、他の分野では予防原則、つまり科学的に影響が不確定であっても、大きなインパクトをもたらしうる場合は予防的に規制することが求められていますが、これが現状ではGM産業において組み込まれていないことがあります。そのようなGM産業に関するケース調査では、GM種子三大大手企業のモンサント・シンジェンタ・デュポン、またGM関連農薬最大手バイエル、そしてモンサントの農薬に対してキーテクノロジーを提供している住友化学の5社に対する投融資額を調査しました。その結果、7銀行から2.8兆円、さらにGPIFから3400億円の投融資がなされていることが明らかになりました。GMの技術開発には莫大な初期コストがかかるため、金融は大きな役割を持っています。欧米の動きに対して、日本の銀行はGMOに関して何も言っていないため歯止めがかかっておらず、働きかけを強めなければいけません。
今後について、まず現在日本の銀行の評価は海外の大手銀行より低い水準にあるので、方針の改善が必要です。また既に掲げられている方針も実践されていないため、銀行に実施体制を作らせる必要があります。活動としては、保険など他の金融機関への評価も行っていく予定ですし、またインド・タイ・フィリピンなどアジア地域に活動を広げる予定です。

 

Jacob König氏(Swedish Consumer’s Association:スウェーデン消費者協会)
「スウェーデンにおけるFFGの取組みの成果〜エシカル消費のムーブメントと銀行の変革」


私はスウェーデン消費者協会に所属し、アムネスティなど4つの団体と共同でFFGにおいて活動しています。今回はFFGによるスウェーデンの銀行に対する影響と消費者からの反応についてお話します。

 


スウェーデンでは以前から、消費者が自分たちのお金と社会・環境問題との関連に気づき、銀行へ社会的責任を求めている恵まれた状況にありました。実際に95%の消費者が銀行に対する倫理性・環境性を重視し、また2/3の人がそのために預金先の銀行を変えることを厭わないと回答しました。特に、再生可能エネルギーや電車、電気自動車など、人権や環境問題に影響を与えない分野への投融資を求めていました。

しかし、実際には消費者には様々な課題がありました。例えば、お金の流れが見えにくいこと、銀行間での違いが見えづらいこと、銀行を選ぶ際に第三者的なアドバイスを与える主体がないこと、そしてほしい情報にアクセスするための仕組みができていないことです。

加えて、銀行業界も社会的責任を満たすために独自の活動をし、その結果を公表していましたが、それらの取り組みは独立性に欠けており、情報の信頼性がありませんでした。つまり、消費者は自分の銀行がいいのか悪いのかわからない状況にあり、またそれに対して銀行側にはあえてその状況を変えるようなインセンティブがなかったのです。そのために私たちはFFGを立ち上げ、消費者が銀行の持続可能性に対する取り組みについて容易に理解できるようにしました。

 

FFGを始めた当初の銀行のスコアは平均が22%と、日本の銀行と同じくらいの非常に低い評価の状況から始めました。改善のためにまず私たちが行ったのはユーザフレンドリーなウェブサイトの提供です。トップには銀行の総合スコアなど大まかでわかりやすい情報を見せて、より深く知りたい人はクリックして掘り下げられるような形式にしました。そんな取り組みを続けた結果、消費者からこれまで銀行へのメッセージを9000通以上集めました。

そのうち98%が失望的な意見で、3100通が一般的なスコアに対する、5900通がケーススタディに対するメッセージでした。また450のニュースや記事に掲載されるなど様々なメディアからの注目も集めました。さらに、銀行も含めたパネルディスカッションや、銀行のCSR担当者やチーフエコノミスト、政府の担当者なども交えた銀行との対話をそれぞれ3回行いました。そして、1年に1回スウェーデン銀行協会において全ての銀行を集めた会議を行っています。


銀行側の反応はというと、当初は皆懐疑的でしたが、競争的なスコアを発表すると銀行側から強い反応があり、スコア改善のために様々な取り組みが始められました。例えば投融資方針の改善やポジションステートメントの発表、エクエーター原則への署名、サステナビリティ担当者の増員などです。また7銀行のうち6つが投資ファンド別にどれだけ社会的影響があるのか情報公開して比較できるようにし、同じく6銀行が石炭への投融資を撤回するなど気候変動への取り組みを深めました。そうした中で、私たちは市民側の代表として銀行と建設的でオープンな対話を行いました。特にFFGは、銀行に評価を一方的に送りつけず事前の連絡をするなど、高い透明性を評価されました。基本的に友好的な関係を築いていたので、ある銀行のCSR担当者は、ポリシー対象のセクターの追加や明示、投融資において何を検討するべきか、ガイドラインを作成する際にFFGがいい参考になったと話してくれました。

 

このように取り組みを続けた結果、現在ではスコアの平均が47%と大きく上昇し、特に前年に下位に評価された銀行は翌年スコアを大きく改善しました。またオルタナティブな銀行では新規口座開設への問い合わせが大きく増加しました。


投融資方針と実態とのギャップは日本と同じく問題です。まず採掘業における人権のケース調査を行ったところ、7銀行のうち6つでギャップがあり、重大な人権侵害の可能性のある企業への投融資をしている銀行もありました。そこで、レポートの事前連絡の際にその実態について銀行に尋ねたところ、会社と銀行との間での対話で改善を図っているとの回答がありましたが、その大部分が信頼できないと判断したためレポートを消費者に公開しました。銀行はコンプライアンス意識が高くポリシー違反を指摘されることを非常に嫌うため、このようなケース調査の発表は有効です。化石燃料についてのケース調査ではパリ会議の前に調査を行い、預金先の銀行が化石燃料に投融資しているような恐竜銀行である、という内容のビデオを広く公開しました。消費者はそのビデオによってはじめて化石燃料への投融資の実態を知り、大きく反発したのです。さらに、国際調査では、世界中の銀行で投融資額の88%が化石燃料に投資された一方で、12%しか再生可能エネルギーに投資されていないことが明らかになりました。そんな中、一番再エネ率が高いと判明した銀行は、その事実に誇りを感じ、取り組みを継続したとのことでした。ですので、褒めるところは褒める、批判するところは批判する、というやり方で効果をあげていきました。さらに武器輸出に関するケース調査で、人権侵害や戦争行為に加担している国・企業に対して資金提供をしているかどうか調べた結果、4/7が違反しているとわかりました。よって、ポリシーがあるだけでは不十分で、実際に正しく投資先を決めるよう銀行に働きかけるべきなのです。


以上をまとめると、以下の点がスウェーデンでのFFGの成功の理由と考えています。

1)消費者が全体的に持続可能性への関心が高く、広がる土壌があったこと。

2)銀行が顧客からの不満に対して敏感で、また競争相手との比較で劣っているのを嫌がるという性質を有効に利用し、市場インセンティブを生み出したこと。

3)さらに銀行業界において、もともと社会的行動による顧客満足への貢献が重要視されていた中、運営やデータ提供を独立で客観的に行うFFGの方法論が許容され、対話によく対応するなど銀行の改善への意欲が高いことも追い風になったこと。

4)加えて、政治家を巻き込んで万一の場合、規制政策を打たせる可能性を示唆したり、消費者の代表として集めた意見を銀行にわかりやすく伝えたりしたこと。

 

最も重要なのは、銀行業界というパワフルでインパクトの大きいセクターにおいて、彼らが自ら行動を正していくようにし、それをサポートすることで、そのためには正面からプレッシャーをかけなければいけません。このような活動の成果の表れとして、最もイノベーティブな技術賞にノミネートされました。


今後は実践状況の調査を強化し、年金基金の運用の評価を行う予定です。また国際的にはノルウェーと協力したり、より多くの国にFFGを広げたりすることを考えています。

 

レポートの続きはこちらから!

 →http://asj.jugem.jp/?cid=31

author:asj, category:エコ貯金/フェア・ファイナンス, 10:52
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【イベントレポート】終戦記念日直前 原爆の日緊急セミナー あなたの銀行と非人道兵器の関係を探る

こんにちは。事務局スタッフの富田です。

 

8月9日の夜、「終戦記念日直前 原爆の日緊急セミナー あなたの銀行と非人道兵器の関係を探る」を開催しました。

日本イラク医療支援ネットワーク(JIM−NET)、NGO非戦ネット、「環境・持続社会」研究センター(JACSES)、アジア太平洋資料センター(PARC)の協力を得て、クリエイティブone秋葉原ビル8Fのラーニング・カフェにて実施されました。

 

このセミナーの目的は8/5(金)にFair Finance Guide Japanを運営するA SEED JAPAN、PARC、JACSESが共同発表した調査報告書「大手金融機関と『死の商人』のつながり!? 〜非人道的兵器への投融資実態〜」(http://fairfinance.jp/news/2016/20160805/)の内容をより多くの方にお伝えすることです。

そして、みなさまと協力しながら銀行の投融資方針やお金の流れを変え、よりFairな社会を実現することを目指しています。

 

核実験を通してまき散らされる大量の放射性物質や、戦争における非人道兵器の使用は、豊かな自然環境や生物多様性を破壊するという意味で最大の環境破壊といえますが、そのような兵器の開発製造に自分の預金が使われている事は多くの人の想像が及ばないことかもしれません。

私たちの預金の一部がどんな事業に使われているか、それがどんな悲劇を引き起こしているのか、そしてそのお金の流れを変えるために何ができるのかを語り合う場を設けました。

 

プログラムの内容としては、まず初めに、JIM-NET事務局長の佐藤真紀氏が民間人、とりわけ子供が大きな被害を受けている非人道的兵器(クラスター爆弾や劣化ウラン弾等)の使用実態について説明しました。

非人道兵器の仕組みや主にイラクでの内戦の経緯と現状、そして被害を受けた人々(具体例として、劣化ウラン弾による被ばくの結果、癌が原因となって亡くなってしまった子供等)に対するNGOの支援活動や非人道兵器への反対運動等の解説がありました。

現地で活動するNGOだからこそ伝えることのできる悲惨な現地の状況とNGOの活動による国際世論の変化の因果関係が臨場感をもって伝わりました。

 

次に、「環境・持続社会」研究センター(JACSES)の田辺有輝氏がFair Finance Guide Japanの紹介をしました。

どのような基準で銀行の融資方針を評価しているかとともに、非人道兵器を禁止している国際条約や国内大手銀行から非人道兵器製造企業へとお金が流れる仕組み、そして銀行に対する評価について具体的な説明がありました。

さらに先日公表された年金積立金管理運用(GPIF)から非人道兵器製造企業へ巨額の投融資が行われていた実態も明らかにされました。

Fair Finance Guide Japanの活動を続ける中で、実際に銀行側も融資方針の変更を始めております。(詳しくは、こちらをご覧ください。http://fairfinance.jp/)。

 

続いて、登壇者お二方への質疑応答の時間を取りました。

銀行への評価に使用する投融資情報の入手方法等の質問に対して、田辺氏より、企業が発行している有価証券報告書等を情報元とした分析を行っているという回答がありました。

 

最後に、グループトークとして、参加者の方々を含めて、非人道的兵器の製造にも使われている私たちのお金の流れについて話し合いました。

その中で、反社会的勢力に対する法律による制限と同じような形で非人道的兵器製造企業への投融資についても同様の制限ができれば銀行も変わるのではないかという意見等がありました。

さらに、より詳細な評価方法について質問があり、田辺氏からFair Finance Guide Japanの公式ホームページ(http://fairfinance.jp/)に評価基準についての詳細な記載がある等の回答がありました。

(本セミナーの協力団体であるNGO非戦ネット賛同人のヒューマンライツ・ナウ事務局長の伊藤和子氏)

 

今回は、17名の方にご参加いただきました。積極的なたくさんのご質問をいただき、グループトークでも活発な意見交換が行われ、非常に活気のあるセミナーとなりました。

参加者のみなさま、誠にありがとうございました。

 

私は、ボランティアとしてこのA SEED JAPANで活動しており、今回がイベント企画への初挑戦でした。イベントを実施することの難しさを実感すると共に大きなやりがいを感じました。みなさまのお力をお借りしながら、私のような20代の若い(?) ボランティアスタッフでもイベントを企画できるというのがASJの大きな魅力だと思います。

また、イベントを通して自分たちの活動を広めていく、よりFairな社会を実現していく方法を実感することができました。

Fair Finance Guide Japanは実効力のある、広める価値のあるコンテンツだと思います。なぜなら、銀行が私たちの預金をどのような企業に融資しているのかを可視化することで、幅広い分野のNGOやNPO、そして多くの金融機関と協力して、社会問題を改善できるようになるためです。

さらに預金とは多くの人にとってとても身近なものであるため、自分自身と直接かかわりのある問題として話し合うこともできます。

 

A SEED JAPANでは引き続きFair Finance Guide Japanに関する活動を実施してまいります。

今後の活動にぜひご期待くださいませ!

 

A SEED JAPAN では一緒に活動していただけるメンバーを募集しています。詳しくはこちらから!(http://www.aseed.org/recruitment/)

※本セミナーは独立行政法人環境再生保全機構地球環境基金からの助成を受けて開催しました。

author:asj, category:エコ貯金/フェア・ファイナンス, 21:35
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【2/28】フェア・ファイナンス・ワークショップを開催しました!

2月28日の14:00〜16:30に、アウトドアメーカーのパタゴニアの協力を得て、御茶ノ水にあるソラシティのカンファレンスセンターで、「私たちの預金がコアラの森を破壊する?」と題して、フェア・ファイナンス・ワークショップを開催しました。フェア・ファイナンス・ガイドについて学ぶとともに、「自然環境の破壊」を事例として、
  私たちの預金が具体的にどんな事業に使われてしまっているか
  それを止めるために私たちにできることは何か

について考えました。

プログラムの内容としては、まず初めに、「環境・持続社会」研究センター(JACSES)の田辺有輝氏がフェア・ファイナンス・ガイドの紹介をしました。フェア・ファイナンス・ガイドは、銀行側がどのような方針で融資をしているのかを知るという預金者にとっての利点だけではなく、銀行側にとっても、自分たちの融資方針の社会性に対する努力を預金者に知ってもらえるという利点を持つ取組であるということが印象に残りました。実際に、フェア・ファイナンス・ガイドの活動を続ける中で、りそな銀行と三井住友信託銀行が融資方針を変えたと聞きました。(フェア・ファイナンス・ガイドについて詳しくは、こちらをご覧ください。http://fairfinance.jp/)。
 
 

次に、熱帯林行動ネットワーク(JATAN)の川上豊幸氏に、オーストラリアのニュー・サウス・ウェールズ州における森林伐採問題の紹介をしていただきました。コアラをはじめとする、貴重種や絶滅危惧種に指定されている野生動物の住む保護価値の高い森林を伐採している製紙会社があり、そのような企業に融資している銀行があるということを具体的に紹介していただきました(詳しくはこちらをご覧ください。http://fairfinance.jp/news/2015/20151002/)。古紙100%やFSC認証のマークがついている紙が環境にやさしいそうです。

続いて、登壇者お二方とA SEED JAPAN土谷に加えて、パタゴニアの篠健司氏の4名で、「自然環境破壊を止めるために、企業、金融機関、政府にどう働きかけることができるのか」と題してトークセッションを行いました。篠氏によると、パタゴニアもNGOからの批判をきっかけに、原材料から廃棄まですべて見直し、サプライチェーンを透明化してきたそうです。そのような経験をヒントとするなどして、フェア・ファイナンス・ガイドの取組に実効性を持たせるための方法について、4名で話しました。

最後に、ワークタイムとして、参加者の方々を含めて、お金の流れを変えていくためにできることを話し合いました。あるグループでは、それぞれが、行っている活動を広めていく際に苦労した経験を持ち寄って、フェア・ファイナンス・ガイドの取組を広めるための方法を考えました。他にも、企業のCSR※担当者向けのセミナーを開催してほしいという意見や、まず大学の研究室単位で環境にやさしい紙の利用を呼びかけたいという意見がありました(※CSRとは、Corporate Social Responsibility(企業の社会的責任)のことです。これにより、本来利益を追求する存在である企業が、社会的存在としての社会に対する責任から、顧客や株主だけではなくいろいろな立場の人々にとって望ましい活動をします。詳しくはこちらをご覧ください。http://allabout.co.jp/gm/gc/293099/)。
 

 今回は、約25名の方にご参加いただき、学生さんが比較的多かったです。積極的に質問していただいたり、ワークタイムでも活発に意見交換していただいたりしました。ご参加していただいたみなさん、ありがとうございました。

 私は、インターン生としてこのA SEED JAPANで活動しており、今回イベントに初めて携わらせていただいたのですが、イベントはこうやって作られていくんだなあと思いました。特に、専門家4名によるトークセッションは新鮮でした。イベントを通して自分たちの活動を広めていく、よりよくしていく方法を見ることができました。そして、フェア・ファイナンス・ガイドの取組は実効力のある、広める価値のある活動だと思います。なぜなら、銀行が私たちの預金をどのような企業に融資しているのかを、フェア・ファイナンス・ガイドが可視化することによって、結果的に企業に社会的責任を果たすインセンティブを与えることができれば、個人単位よりも大きな単位で社会問題を改善させることができると思うからです。

 A SEED JAPANの今後の活動にぜひご期待ください。

author:asj, category:エコ貯金/フェア・ファイナンス, 15:00
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【5/28,5/29】社会的インパクト投資シンポジウムへ出展しました!
5月最後の週末、場所は東京証券取引所。
A SEED JAPANとしてももちろん初めての、東証でのブース出展です!
イベント名は、「社会的インパクト投資シンポジウム」。日本財団が主催で、今年で2回目のシンポジウムです。

金融の今を語る専門家が講演をする隣で、およそ12団体が出展しました。
2日間で100名以上の方と名刺を交換し、これからの関係をつなげたことをとても嬉しく思います。

当日は様々な金融の形態を担う仲間が!投資、政策金融、休眠預金、NPOバンク、信用金庫、保険。。。そして私達Fair Finance Guideは“預金”。預金を取り扱う金融機関=銀行を「社会性」という観点からみてランク付けしたパネルに、多くの方が足をとめました。

自然エネルギーや温暖化防止などのための事業にも、金融機関の投融資が目立ち始めてきました。
一方で、環境破壊、人権侵害につながる事業に投融資している事例も、ケーススタディで報告されています。
そのような事業を行っている企業へ大手銀行が投融資している金額は、なんと7兆円。
≫ケーススタディ報告:http://fairfinance.jp/news/2014/20141208-2/
公正な社会のために私たちの預金が使われるように、私たちも銀行に声を上げていきましょう!
≫こちらから、銀行にメッセージを送ることができます!
http://fairfinance.jp/

他に出展された団体のみなさまとも沢山の交流ができました!
<他出展団体>
日本財団
日本政策金融公庫
西武信用金庫
ファンドレック
TOYKO+ACUMEN
PRI
コモンズ投信株式会社
ARUN
コミュニティ・ユース・バンクmomo
author:asj, category:エコ貯金/フェア・ファイナンス, 22:21
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