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フェア・ファイナンス・セミナー ポートフォリオ低炭素化の最前線〜動き始めた日本の金融機関〜

フェア・ファイナンス・セミナー

ポートフォリオ低炭素化の最前線〜動き始めた日本の金融機関〜

2017712日(水)19:0021:00

主催:A SEED JAPAN、「環境・持続社会」研究センター(JACSES

 

先月、A SEED JAPAN(以下ASJ)が運営団体をしているFair Finance Guide Japan(以下FFGJ)は、海外の石炭火力発電プロジェクトに対する日本の民間金融機関からの投融資実態について、ケース調査報告書にまとめて発表しました。それに合わせて、先月12日に、石炭への投融資を含めた、金融の業界における社会の低炭素化に向けた取り組みの現状の把握・今後の発展の議論を目的として、金融機関・NPONGOなど様々なステークホルダーの皆様を迎えてセミナーを行いました。

年金積立金管理運用独立行政法人(以下GPIF)による国連責任投資原則(以下PRI)への署名や海外の主要金融機関による石炭産業からのダイベストメントの動きなど、金融の業界において「環境・社会・ガバナンス」(以下ESG)に配慮した投融資を行おうとする流れが加速しています。その一方で、FFGJのレポートにもある通り、日本の金融機関からの石炭産業への莫大な資金の流れは続いています。そのような状況において、世界の金融がどのような方向に向かおうとしているのか、金融の業界はどう環境・社会の価値向上に貢献できるか、そして日本の金融機関はどうあるべきでそれに私たちはどう行動できるか、専門家の方々からのお話を中心に深く考えることができました。

ここではゲストの皆様のご講演とその後の質疑応答についてその内容をご報告します。

星オルタナ総研所長/首席研究員・ニッセイ基礎研究所客員研究員 川村雅彦氏星

まずはじめに、研究者として長きにわたって金融業界における社会・環境配慮の動向について調査を行われてきた、オルタナ総研所長/首席研究員・ニッセイ基礎研究所客員研究員の川村雅彦氏をお迎えし、ESG投資、特に投資ポートフォリオの脱炭素化の最新動向についてご紹介いただきました。

近年、誰にどう投資するかを考えるSRIから、投資家・投資そのものの環境・社会的影響を考えるESG投資へと金融業界の流れが変化しているといいます。実際、ESG投資額がここ4, 5年のうちに世界全体で1.7倍に増加し、プロの運用のうちESG投資が総額の1/4を占めるようになりました。今後投資プロセスの意思決定にESG投資を入れていく傾向が一層強まると考えられています。

特に印象的だったのは、ESG投資が重視されるようになっているこの流れは、従来の金融業界の常識から考えると、パラダイムシフトが起こったようなものだ、ということです。というのも、かつてESG投資は短期的には投資の最大化に邪魔であるとして、受託者責任に反するとされてきたそうです。しかし、現在は転換が生じ、長期的にESGを考慮しないと受託者責任に反するとされるようになりました。実際に、 PRIに世界で1756機関が参加おり、日本でもESG考慮が被保険者の長期的な利益につながるとしてGPIFが署名したのを皮切りに、56機関が署名を行なっています。また、アメリカ労働省による年金運用のための法律(エリサ法)においても、20年にも及ぶ議論の結果、ESGは運用の際考慮すべき適切な要素であると明確に位置づけられました。

ここで、気候変動に焦点を絞り、金融業界における低・脱炭素化が進んでいる背景について解説されました。まず昨年パリ協定において2℃ターゲット、つまりCO2濃度450ppm目標が設定されました。その達成のためにはカーボンニュートラル、つまり排出量と吸収量のバランスを目指さなければならず、結果として過去からの積算として排出量の上限が決定されることになります。そうすると利用できない化石燃料が存在することになり、それらは資産価値がなくなる、つまり座礁資産となってしまいます。もし金融機関が化石燃料に投資を続けてしまうと、いつかカーボンバブルがはじけて投資が回収できなくなる可能性が高まっています。そのため、化石燃料、特に気候変動への影響の大きい石炭からの投資の引き揚げ(ダイベストメント)が進んでいるのです。こう行った考えに基づいて、先月発表されたG20TCFDでは金融機関が分かるように企業のリスクと事業チャンスの両側面を財務インパクトとして発表すべき、と提言されました。そしてノルウェーやカリフォルニアの年金基金を始め、日本以外の金融機関の多くが石炭からのダイベストメントの実施を宣言しており、エクソンモービルが主に資金供給を行なっているロックフェラー財団でさえも、気候変動に対するリスクへの対応を毎年公表すべき、との議決が採択されました。そのような世界の流れがありながら、日本の政府や金融機関は石炭のリスクを直視せず、投融資を進めているのです。

その後投資機関のポートフォリオの低・脱炭素化に向けた具体的な取り組みを紹介されました。そもそも、ポートフォリオの低・脱炭素化を行うのは、環境・倫理的に配慮するのではなく、純粋に財務リスクを低減するために必要であるため、との認識が金融機関にあるためです。そのため、自分の投資によって生じうる炭素排出量を計算する必要性が高まっています。先に述べたTCFDの提言を始め、スチュワードシップコードでも金融機関が気候変動リスクについて勉強・理解することが必要だとされています。また運用機関の間での取り決めとして、投資によるCO2排出がいくらか公表するモントリオール・カーボン・プレッジ(炭素誓約)が定められ、消費者ではなく投資家の環境影響・意思決定が問われるようになっています。さらに実践的に、脱炭素に向け行動する企業の連合である脱炭素連合ができています。

最後に、今後の社会全体の流れについて、金融業界によるESG投資と、それを受けた企業側のCSR、ひいてはESG経営とが進んでいく中で、お互いの方向性の確認のために金融業界と企業のESGに関する対話が一層重要になっていくだろうとおっしゃっていました。

 

星りそな銀行 松原稔氏星

続いて、ESGを重視した投融資を進める金融機関の筆頭であるりそな銀行から、運用部門である信託財産運用部グループリーダーの松原稔氏から、投資家、特にESG投資家が何をどのように考えて行動しているかについてお話しいただきました。

そもそも松原氏は、2003年のりそなショックを受けて、社会にどのように貢献していくか考えるようになったそうです。そして2006年にPRIが制定され、社会にとって必要な運用機関となる、つまり儲かることだけでなく世の中の利益になるような投資をするには責任投資が必要だとの考えに至ったといいます。ただ、かつて銀行の常識は社会の非常識である、と言われてきたように、金融業界においてESG投資は軽視されてきました。その中で、GPIFPRI署名は、社会的にESG投資を促進する起爆剤となる可能性があり、SRIESG投資家にとって重要だと考えられています。また、かつては超短期的な足元の損益のみ熟慮されてきましたが、リーマンショックを受けて、長期的な視野で、お金だけでなく物事の考え方も重要な観点となるという点で、ESG投資が広がっているとも考えられています。さらに、ESG投資によって、長期リスクの低減や社会に必要とされることによる企業成長力の向上、といった効果が生じることで株価の上昇にも繋げられることから、投資家にも受け入れられています。

その後はりそな銀行が現在行なっている具体的な取り組みについて紹介されました。まず、どのESG課題を評価するか、世界経済フォーラムなどを参考に、3つのリスク要素として気候変動・サプライチェーン・取締役構成、それにパーム油とコラプションを加えたマテリアリティーを選定し、それらの分野に関して企業活動の評価を行っているとのことです。評価が低い企業に対しては、株主として取締役選任・報酬・買収防衛策への議決権を行使できますが、その前に企業側からの働きかけがあり、そこでESG課題について対話を行なっているそうです。具体的に、気候変動については、気候変動に関する、特に座礁資産のリスク・機会の評価などについて尋ねる質問状を企業に送付し、その回答をもとに情報を開示し、対話を行なっています。またサプライチェーンでは人権について国連ビジネスと人権に関する指導原則(UNGP)に参加しているため、その分野について評価し企業と対話しているそうです。さらに、りそな銀行としてESG投資を継続・強化していくための仕組みとして、毎週会社のマネジメントの方々とともに責任投資ミーティングを開き、環境・社会・ガバナンスの状況などを議論なさっているそうです。

最後に、「私たちは、地球を先祖から受け継いだのではなく子供達から借りているのです。」というネイティブアメリカンの教えを引き合いに、ESG投資・PRI活動を行うにあたっての矜持を示してくださりました。

星「環境・持続社会」研究センター(JACSES田辺有輝氏星

続いて、FFGJと本セミナーの共同主催団体である「環境・持続社会」研究センター(JACSES)のプログラムコーディネーターである田辺有輝より、GPIFの石炭投融資実態・民間銀行の海外石炭火力発電事業プロジェクト融資実態に関するレポートを紹介いただきました。

そもそも今回のFFGJによるレポートを発表した趣旨として、脱炭素化を進めていくにあたって、石炭採掘だけではなく石炭火力発電の考慮も重要であり、IEAシナリオによるとエネルギー関連によるCO2排出は今年がピークとなるべき、と言われています。また石炭火力発電所は一旦建設されると数十年にわたって運転が想定され、また莫大な投融資をもとに発電プロジェクトが進められるため、銀行融資が果たす役割は大きなものとなっています。そのため、石炭火力発電プロジェクトを考えるにあたって、銀行融資を最重要視している、とのことです。

直近の金融業界における関連する動きとして、6月に世界2番目の年金基金であるノルウェー政府年金基金が、投資先金融機関のポートフォリオに基づくCO2排出量開示を求めると発表しました。この年金基金は多くの日本大手企業の1%以上の株式を保持していることから、大きな影響を与えることが予想されます。また欧米系の銀行では石炭火力発電事業への投融資を禁止する動きが活発化していることも紹介いただきました。

 

その後まずGPIFに関するレポートについて紹介いただきました。ノルウェー政府年金基金が特定した石炭関連企業である、活動の3割以上が石炭関連である発電企業、また石炭資産を保有している企業リスト(The carbon underground)に入る企業を対象とし、それらの企業に対するGPIFからの投融資額を調査しました。その結果、17955億円の投融資がされていることが判明しました。GPIF1兆円のESG投資をすることを宣言していますが、それ以上の額を石炭関連に投資していることになります。レポートの発表後にGPIFと議論をしたとのことですが、運用によって生じうる民間活動への影響に留意する、との原則により、石炭セクターという特定の事業を除外することはできない、と回答されたそうです。特に、GPIFESG投資3指数(総合ESG指数2つと社会関連指数1つ)を公開していますが、先進国で2番目の国内外石炭関連事業をもつ丸紅・出光興産・中部電力・関西電力・九州電力が優良企業とされているなど、石炭関連においては含む企業の選定に問題があるとのことでした。

続いて海外石炭火力発電プロジェクトへの投融資について、これまで他の機関から複数のレポートが出されていますが、それらは企業単位での評価であり、個別プロジェクトベースでの評価はない点で新しいレポートとなっています。JBICNEXIのプレスリリースをもとに評価を行なった結果、三菱UFJ、三井住友、みずほの順に投融資学が大きくなっています。これは途上国石炭発電新規事業への投融資を行う際に、プロジェクトを統括するプラントメーカーごとに投融資する金融機関が異なっており、三菱・日立の案件では三菱UFJ、東芝のでは三井住友、商社などのプロジェクトファイナンスにおいては種々の銀行の連合、となっているためみずほの投融資額が低くなっているようです。

このように、石炭への投融資を削減していく世界の潮流とは逆行した日本の金融機関の投融資の実態が明らかになりました。この現状を変えるべく、各金融機関には石炭関連の投融資をやめるよう提言するとともに、実際にやめてもらうよう金融機関へのメッセージを送ることの重要性をお話しになっていました。

星レインフォレスト・アクション・ネットワーク 川上豊幸氏星

最後に、レインフォレスト・アクション・ネットワーク(以下RAN)日本代表部の川上豊幸氏より、金融機関に対するエンゲージメントによるインパクト事例についてご紹介いただきました。

川村氏・松原氏のお話の通り、投資では低・脱炭素化にむけた大きな流れができているとのことでしたが、銀行の融資についてはまだ問題のある部分が多く、RANではその点に注目しているとのことでした。RANには大きく2つのプログラムがありますが、森林プログラムでは紙・パーム油・ファイナンスについて、気候変動・エネルギープログラムでは金融について重点的に活動しています。従来のような買い手の事業会社への働きかけだけでなく、金融機関からのプレッシャーも重要であると考えて活動を行っています。そもそも金融について活動を始めたきっかけは、チャド・カメルーンの石油パイプラインが森林破壊・住民の人権侵害を行っていた問題があり、そのプロジェクトにCITI Bankによる融資が行われていたことから、開発を中止させるために融資をやめるよう運動を行なったことから銀行への運動を始めた、とのことでした。その後石炭業界のレポートカード、石油パイプライン事業への活動などを行なっています。これらの活動の成果として、Bank of Americaによる石炭輸出禁止へのコミットメント、CITI Bankの環境政策導入など、多くの銀行の投融資政策・融資停止を勝ち取っています。直近の活動として、石炭・オイルサンド・深海石油開発・アメリカからの天然ガス輸出を対象とした「エクストリーム化石燃料」に関するレポートを発表されました。その結果、日本の金融機関は軒並みF評価であり、これは中国の金融機関と同じレベルにとどまってしまっているそうです。

ここから、日本における森林に関するファイナンスについて活動についてご紹介されました。森林保全は気候変動の観点からも非常に重要であると指摘されました。というのも、産業革命以降のCO21/3が森林減少に由来しているそうで、森林伐採・劣化の防止などの森林保全によって30%の排出量削減が可能であるそうです。加えて、熱帯林に分布している泥炭地を開発することによるCO2排出も大きな問題となっています。泥炭地では水面下に植物の死骸由来の炭素が大量に蓄積されており、泥炭地開発における抜水の際にCO2として放出されるため、520haの総面積から石炭火力発電所70基分に相当するCO2排出が生じる可能性があります。また丸紅がインドネシアで行っているパルプ開発から森林・泥炭地火災が発生し、大気汚染などが大きな問題となりました。このように、石炭だけでなく泥炭地開発も座礁資産となりうると仰っていました。これらの問題を食い止めるための具体的な活動として、金融機関の株主に向けたレポートやデータベースを作成・公表しています。それらの中ではパーム油・紙パルプ・天然ガス・木材に関する問題企業に対する融資額をまとめており、メガバンク3行からの融資額121億ドルにのぼるなど、日本の金融機関からの融資額が最も多く、次いでマレーシア・中国・インドネシア、と続いています。

最後にこれまでの活動の成果と課題についてお話しされました。海外では銀行の融資政策導入などの成果が得られています。その一方、日本では透明性を求めているもののあまり取り組みが進んでいないようです。特に泥炭地開発が座礁資産となってしまう可能性について強く働きかけており、金融機関でもCSR担当者レベルの方々は興味・問題意識を持つことも多いようですが、マネジメントレベルにまで届かない現状があり、金融機関への投資家側から働きかける方が早いのではないかと考えていらっしゃるそうです。このような活動は成果が出るまで時間がかかってしまいますが、CFD・パリ協定などを受けて金融業界にも動きが見えてきているのでさらに加速させたい、とのことでした。

 

星質疑応答星

まず一つ目の質問で、石炭火力及び座礁資産リスクに関する世界的な動向の話がある中、なぜ日本や韓国の政府が未だに融資をしようとするのか、登壇者の皆様の見解を聞かれました。

川村氏は、単純にそれらの政府が鈍感なだけではないかと仰っていました。というのも、気付かないとリスクは認識できないものであり、510年はこのままでよいと考えているのではないか、リスク認識が相当甘いと言わざるを得ない、ということでした。今年の筑後や昨年の北海道など豪雨がありましたが、それらが普通になって、慣れてきてしまっており、気候変動リスクと結び付けられていないと感じられます。こうなると金融機関やステークホルダーが言わないとわからないだろう、と仰っていました。

松原氏は、企業がサステナビリティを考えずに足元のフローだけを考えすぎているではないか、とのご意見でした。企業の社長の任期は35年と短いため、その間の成果をあげたいと考えると長期のリスクを軽視してしまうため、まず企業全体のガバナンスから変革し、続いて考え方の変革、そして長期の視点の導入、と徐々に変えていくことの重要性を指摘されていました。加えて投資家も長期の視点を欠いており、考え方を変えるべきだろう、と仰っていました。

田辺氏は、発電事業者とプラントメーカーの考え方の違いを指摘されました。発電事業者は運転開始から終了までの4050年間について考えなければならないため長期を考えます。一方でプラントメーカーは建設計画を受注する、つまりプラントを売ればその後のことは関係がないため、短期しか考えません。今の日本などではプラントメーカーに重きが置かれているため、短期重視になってしまっているのではないか、とのことでした。

川上氏は、海外での案件はJBICJICAなど政府機関のバックアップがあって損がないためにそれに乗っかっており、また国内でも政府の動きが緩いと感じられることが原因ではないか、と仰っていました。本来は40年後を考えて判断すべきですが、リーマンショックのときのように気づく人は気づくが気づかない方が当面穏やかな生活が続くため、現在は長期の判断がされておらず、松原氏と同様に、ガバナンスなどについてきちんと主張する人が必要だと指摘されました。

 

続いての質問では、話に上ったノルウェー、カリフォルニアの年金基金のダイベストメントについて、背景には議会の動きがありましたが、日本の国内での国会の動きなどはないか尋ねられました。

川上氏は、GPIFの管理・運用方法については議論があると仰っていました。

田辺氏は、気候変動政策においては共産党が1番熱心であり、議員レベルでは民進党に一部関心のある方がいるものの、全体的には残念な現状であると仰っていました。

松原氏は、GPIFについて、現行法律ではESGの個別課題に立ち入ることは不可能であるため、PRIに署名していることを使って働きかけるなど、投資機関がエンゲージメントしていく必要性を指摘されていました。

 

3つ目の質問では、石炭からのダイベストメント後のエネルギー需給について意見を聞かれました。

川上氏は、再生可能エネルギー(以下再エネ)しかない一方で、安価なパーム油を発電に使うなど、バイオマスが森林破壊に結ばないか懸念されていました。

田辺氏も再エネに言及した上で、現在の新規導入の6割が再エネであり、その傾向を更に進展させて、電力全体での再エネの比率をあげていくのが重要だと指摘されました。

松原氏からは、投資家はエネルギー政策の議論をせず、経営としての様々なリスク側面の一つとしてのCO2排出の認識の話が中心になっていると仰っていました。

川村氏も同様に、燃料用途・材料用途ともに化石燃料はいずれ座礁資産化し、再エネしかないだろう、との立場でした。それに向かう流れとして、ゼロエミッションビークル(ZEV)含め使う方がどう変わっていくか、不安定な電源のマネジメントとして分散型エネルギーにどう変化させるか、ゼロエミッションビルディング/ハウス(ZEB/ZEH)がマーケットにどう普及されていくか、など、再エネのfeasibilityの議論が重要だと仰っていました。

 

最後に、松原氏への質問として、
1TCFDの提言を受けた11社の銀行の判断などを念頭に、投資や融資先企業における情報開示をどう思っているのか

2Science Based TargetSBT)についてりそな銀行はどう考えているのか

2点について尋ねられました。

まず1点目は、エネルギー・素材企業は自然資本を利用しているなど、企業・業種によってマテリアリティーが違うため、マテリアリティーを設定した理由やそれを受けてのKPIなどについて対話を行っていくそうです。またチャレンジな話にはなりますが、政府系銀行にも働きかけるべきだと考えられています。

また2点目については、Scope1からScope3への移行を重視しており、気候変動についてはカーボンディスクロージャープロジェクト(CDP)に未回答の企業へその理由やリスク認識に関するレターを書いているそうです。特に業種によってはScope1よりもScope3の方が排出量が多いこともあり、Scope1だけではいいかどうか判断しにくいため、できるだけScope3に従ってほしいと考えられています。今後はターゲットを持っていない企業がどういう取り組みの中でそれを実現しようとしているのかが重要であり、情報開示の質と量をあげて行きたい、と仰っていました。

author:asj, category:エコ貯金/フェア・ファイナンス, 16:13
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都市と地域が共存するということ

JUGEMテーマ:日記・一般

 

こんにちは、ひまごみらいプロジェクトの西島です。

今日は何年かぶりに東大へ!くま

 

環境社会学の立場から里山保全研究をしている学生さんにお話を伺いにやってきました。

東大の中に入るかと思いきや「中は結構ざわざわしている」と、近くのカフェへ移動。

 

 

彼の研究フィールドは、有名な映画「平成狸合戦ぽんぽこ」の舞台となった場所。

ニュータウン建設が始まり、新しい住人が住み始めてから、古くから住んでいた方の産業(酪農・農業)が「迷惑な産業」とみなされるようになったこともあったとか。

今では、町内会が地元の伝統的なお祭りなどを残し、養蚕や草の籠づくりなどの文化を地域ぐるみで継承しているようです。

 

 

「都市近郊で、古くからいる人と新しく来た人とが、どう連携して新しいまちづくりをしていけるのか」

 

という問いをもって、政策からこぼれ落ちてしまうモノを拾いあげること。

そして”地域社会”に必要なモノを明らかにしていくこと。

それが彼の研究目標の一つのようです。

 

地域創生、ふるさと納税、Iターン・Uターンブーム。

一方での地域の過疎化、集落の終わらせ方の検討。

そして産業廃棄物、震災後は放射性廃棄物の焼却場、処分場問題。

 

都市と地域は、時には連携し、時には対立しながら、微妙な関係を築いてきた。

 

ここに、800年〜10万年の管理が必要な「核ゴミ」はどのように位置づけられるのだろう。

 

産業廃棄物の問題に関して言うと、

「従来から、山は処分場に選ばれることが多かった。山は宅地並みに相続税がかかるから、売らざるを得ない場合も多い。

そうしてどこに売り渡されるかというと、だいたいが墓地、ラブホテル、廃棄物処分場などなど。

税制の問題で暮らしから切り離されていく土地も多いです」

とのこと。

 

さらに、その根本には日本の第一産業への無関心や、産業を衰退させてしまう経済・政治的構造があるように思います。

「農業・林業が続けられない、だから土地を売らざるを得ない」と。

そうした現状の上で、処分場や各種工場建設が、最低限の合意形成の上で進められようとしている。

 

日本の里海里山の保全と、私たちが「見たくないもの」の処分。またそのほとんどが、都市部から排出し続けているものだと思います。

今、これらが切り離されて色々なことが進められていることには、問題を感じます。

 

都市と地域の共存と核ゴミ。切っても切り離せないこの二つの問題については、これからも議論していきたいと思います。

 

 

ぴかぴかひまごみらいプロジェクト メンバー募集中!ぴかぴか

詳しくはこちら〜

http://www.aseed.org/recruitment/

 

author:asj, category:核ゴミプロセス, 14:33
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3/25(土) 安心できる「食」について、私たちの「預金」から考える!(フェア・ファイナンスセミナー)

こんにちは!A SEED JAPAN の長島遼大です。

3月25日に

安心できる「食」について、私たちの「預金」から考える!と題してセミナーを開催しました!

今回のセミナーは、

 「遺伝子組み換え食品は選びたくない!」

「食の問題に対して金融の面からどういったアプローチが出来るの?」 

このような思いを持った方々に参加していただきました。

原宿駅から徒歩3分、TURN HARAJUKUで行いました!

とてもおしゃれな会場です!

 

 

遺伝子組み換えの危険性や、日本の状況、さらに金融の力で遺伝子組み換え食品をなくす方法など様々なお話を聞くことが出来ました。

そんなセミナーの内容をぎゅっと凝縮してお届けしますき

 

第一部では3名のゲストをお呼びしてお話を伺いました。

1人目は國學院大學経済学部教授の古沢広祐氏。

「バイオ経済・生命操作は農業と市民社会に何をもたらすか」と題して、深刻化している食の新たな時代について、また全体的な食をめぐる論点について話していただきました。

 

「人間自身が自然界の生物、DNAを含めて設計し、作り出していくという時代に入りかけています。」

 

古沢さんのお話を聞いていて強く感じたことがありました。それは技術革新によって生まれる恩恵とリスクを私たちはしっかりと考えなくてはいけないということです。

恩恵としては医療品・香料・健康分野から食料・農業・育種分野、化学産業やエネルギー・環境分野といったことにまで発展を促すということです。

一方で、自然生態系への人為的な介入によるリスクは計り知れないものがあります。

 

「自然の健康と人間の健康は実は繫がっている」

 

「自らはどういったものかという問いかけがないままに、自分の都合のいいように自然を制御し環境を改変することは結果的に自分自身も動かしてしまう」

 

古沢さんの話は技術革新について考えるうえでヒントとなる言葉がたくさんありました。

より詳しく知りたい方は昭和堂から出版されている「農業と経済2017・3 臨時増刊号」を購入することをおススメします!

 

2人目はオルター・トレード・ジャパンの印鑰 智哉氏。

遺伝子組み換え食品による健康リスク、遺伝子組み換え産業の構造的な問題について話していただきました。

 

「一人のアメリカ人は一年間で自分の体重を超える遺伝子組み換え食品を食べると言われています。」

 

衝撃的な話で始まった印鑰さんは、遺伝子組み換えの危険について私たち一人ひとりに訴えるように話をしてくださいました。

 

「遺伝子組み換えが導入された年から糖尿病、腎臓病、がん、自閉症といった割合が激増していることがデータから見ていきました。

なぜ遺伝子組み換えが危険かというと、その原因のひとつにBt毒素を含んでいるということが挙げられます。Bt毒素は虫が食べると、その虫を殺すことができ、殺虫剤が必要なくなるのです。人体や家畜に影響はないと言われて販売されていたのですが、実は甚大な影響があることが分かりました。」

 

「農家は遺伝子組み換えの種子とセットで農薬を買うことを決められてしまい、これによってモンサントは莫大なお金を儲けました。」

 

「抗生物質耐性菌が非常に増えています。2050年にはこの病気により1000万人もの死者が出ると言われています。この抗生物質耐性菌が生まれた原因は、ファクトリーファーミング(工場に詰めこんで家畜を育てる方法)が80年代アメリカで行われるようになり発生し、そして遺伝子組み換えが出てきたことで急激に増えてきたと言われています。」

 

印鑰さんの話を聞くことで遺伝子組み換えのリスクを改めて実感しました。

また、遺伝子組み換えにより生産性を上げるということも全くの嘘であることが研究によって解明されました。

遺伝子組み換えについて知れば知るほど、大企業が利益のために売り出してきた状況というのが見えてきます。

 

ではどうしたら遺伝子組み換え産業に対抗することが出来るのか。その方法に金融からのアプロ―チがあります。

3人目はASEEDJAPANエコ貯金プロジェクト田川道子氏より、遺伝子組み換え関連企業への投融資実態調査の報告と、私たちにできることを話していただきました。

ASEEDJAPANが取り組んでいるFairFinanceGuideでは銀行の社会性を格付けすることを行っており、投融資方針を17のテーマで評価しています。

詳しくはこちら→http://fairfinance.jp/

私たちの預金を銀行は企業に融資し、その利息などで私たちにお金が返されるという流れになっており、また会社の株を買ったりすることでもお金の流れができます。

つまり私たちのお金が企業の活動を支えていると言えます。

そこで今回は遺伝子組み換え企業(モンサント・住友化学・デュポン・シンジェンタ・バイエル)に日本の銀行がどれほどお金を融資しているか調査しました。

結果は1,8兆円ものお金が流れていることが分かりました。また、GPIFという私たちの年金を管理している機関から3382億円流れていることもわかりました。

詳細はこちら→http://fairfinance.jp/bank/casestudies/food2016/

 

では私たちは何ができるのか。田川さんは二つ方法があると言います。

 

^篥岨卅箸澳垢┫覿箸僕算颪靴討い覿箙圓ら預金を引きあげる

⇒其眄茲龍箙圓僕算饑茲鮃佑┐討曚靴い氾舛┐

 

すでに世界では市民の動きによって、銀行が石炭火力を建てようとしている企業への融資を中止するといった動きも出ています。FairFinanceGuideでは皆さんにメッセージを書いてもらい、それを銀行に届けるということもしています。

 

田川さんの話を聞いて、自分たちのお金が社会に影響を与えることを認識することが重要だということが分かりました。

私たち一人ひとりが関心を持つことで、遺伝子組み換え企業に対抗することができるのです。

 

第二部はパネルディスカッションでした。

第一部で登壇した3名に加え、

フェアトレード・サマサマオイコクレジット・ジャパン事務局長の小吹 岳志氏に参加していただき、

より深い議論をすることができました。

以下、Q&A方式でお送りします。

Q.金融はどれほどの抑止力になるか?

A.(印鑰さん)遺伝子組み換えが利益をもたらさないということが分かってきて、遺伝子組み換え産業は苦境に陥っています。

しかし日本からは遺伝子組み換え企業にお金が流れてしまっている。

日本は抜け穴になってしまうのではないかという恐れがあった中で、FairFinanceGuideによって調査がなされたことはとても大きいと思います。これは日本からの資金を食い止めることに繋がりますし、遺伝子組み換え企業自体も儲からないので、やめようとなるかもしれません。金融の力はとても大きいと言えます。

(古沢さん)先進的な銀行が良い投資先、悪い融資先を判断して、実際に融資することが大切ですし、そのような銀行を選ぶということも大事です。

 

Q.金融機関に市民が働きかけるとどのようなことが起きるのか、ヨーロッパの例を教えてほしい。

A.(小吹さん)市民は投融資先に関心が高いため、ヨーロッパには、エシカルバンクが発展している。エシカルな投融資基準を設けているので、多くの人は選ぶようになっています。

市民が能動的に動くことで、銀行の執行機関を動かすことが出来ます。

 

Q.日本ではなぜヨーロッパのような動きが起きないのか

A.(田川さん)金融、お金の流れに関しての教育がなされていないことが原因のひとつであると言えます。投資によって短期に儲けることでなく、五年後、十年後に投資した企業がよりよい社会になるための活動をしているかなどを考えていくことが大切だと思います。そのように考えていくことで、ヨーロッパのような動きも出てくるのではないでしょうか。

 

 

休憩時間にはベン&ジェリーズ表参道ヒルズ店のみなさんが差し入れのアイスを提供してくれました!

フェアトレード証明されたナチュラルな原材料が使用されているため、安心でとってもおいしいアイスですまばたきにゃん

登壇者のみなさんもペコちゃん

 

セミナーを振り返って

安心できる「食」について、私たちの「預金」から考える!というテーマのもと

様々な立場の登壇者をお招きして議論を深めることが出来ました!

 

私たちが食べているものが、どんな人たちがどのような思いで作っているかなど

普段の生活から考える機会はほとんどありません。

生産者の顔が見えにくく、自分たちで作るといったことがなくなっていった社会で、

利益のためだけに食品を生産し続けている企業が増えてしまっています。

代表例のひとつが遺伝子組み換え食品であり、今回のセミナーを通して改めてその危険性を認識しました。

このような時代だからこそ、

私たちの生活になくてはならない「食」についてゆっくりと考えてみる必要があると強く感じました。

 

ASEEDJAPANでは、私たちが社会を変えるための方法として

預金先を考えるという方法があるということをこれからも伝える活動をしていきます!

 

登壇者、参加者のみなさん

当日はご参加いただき誠にありがとうございました!

 

 

 

 

author:asj, category:ASJイベント報告, 20:13
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【2017/3/28】企業のエシカル通信簿第一回発表会、結果はいかに!?

こんにちは、事務局長の西島香織です。

A SEED JAPANは、2015年から「消費から持続可能な社会をつくる市民ネットワーク(英語略称:SSRC)」に参画していますラッキー

 

最近は「エシカル(倫理的」な消費」という言葉を耳にする機会も、少しずつ増えているのではないかなぁと思います。

 

このたび、30のNGO・消費者団体による約2年間の議論の末…

第1回目の調査結果(対象:加工食品販売額上位5社とアパレル販売額上位5社)がまとまりました!

今回はその発表会を開催いたしました。

ぴかぴか結果はこちら→http://cnrc.jp/topics/topics-408/

 

 

この通信簿のポイントとしては、

●持続可能な社会・環境・消費者・人権・社会・平和・アニマルウェルフェアの7つの大項目・・と非常に範囲が広いです><

●約50ページから成る調査票を作成し、まずはNGO自ら、企業の公開情報を元に採点し、企業に採点結果を送って確認してもらうというプロセスをとる

●ランキングではなくレイティング(通信簿)。7つの大項目の総合評価は行わず、あらゆる価値観で自分なりに企業を評価できるようにしました。

共同代表の破椣蘋犬気鵝粉超市民)は日本のグリーンコンシューマー運動の先駆者。

もう一人の共同代表の山岡万里子さん(ノット・フォー・セール・ジャパン)は、人身取引問題を啓発する団体の代表です。

環境問題と人権問題、その他平和問題や動物福祉、情報公開など様々な観点の専門家がこのネットワークには集まっています。

A SEED JAPAN西島の担当はずばり「環境」。特に気候変動問題においては、石炭産業へのダイベストメントを表明している企業がいないことや、廃棄物対策に関する方針の少なさ(リサイクルはしているけれどリデュースはまだまだ)について少々言及させていただきました。

アニマルウェルフェア(動物福祉)についてアドボカシーをおこなうアニマルライツセンターの岡田千尋さんは、会場にいらっしゃっていた企業の方からも「新しい気づきを得た」とコメントをいただいていました。

全体的にアパレルメーカーは食品加工メーカーよりも取り組みが少ないと評価されました。若者に注目されているアパレルメーカー、ぜひ頑張っていただきたいです。

 

かわいいレイティング結果は後日、SSRCのホームページで公開予定です。お楽しみに!

 

ちなみに、「日本の企業評価事例」としてFair Finance Guide Japanもご紹介いただきました!!

この通信簿の作成に当たり、フェア・ファイナンスの実行委員団体として西島も微力ながら助言させていただきました。

こうした新たな「エシカルコンシューマー運動」に関して、東京都市大学名誉教授でグリーン購入ネットワーク代表の中原秀樹さんからもコメントをいただきました。

特に、「欧米で進んでいるエシカルコンシューマーによるガイドは元々は戦争に関わる消費を止めようという平和・非暴力運動から始まった」という言葉に感心。この調査でも「平和・非暴力」という項目があるのですが、すべての企業において最低点の1点でした。今後も新しい価値観を、企業や消費者のみなさんと共有していきたいと考えます。


また、後半の質疑応答&ディスカッションをコーディネートさせていただきました。

会場から「若者はこういった問題に関心がないと思うがどうすべきと考えているか」との質問に対して、

ネットワーク団体の皆さんからは「若者は関心を持っている。」「私たちからきちんと情報を公開していかないといけない。」という力強い回答が。A SEED JAPANとしても大変うれしく、もっと頑張って発信していかねばという気持ちになりました。

 

レイティング対象企業の方もお越しいただいており、最後にお褒めの言葉をいただき、改めて企業との対話が大切だと実感。

来年度もますます、大きなムーブメントにしていきたいと思います。

 

そして…

インターン・ボランティアも大募集中です。ご関心ある方はぜひ一緒に企業調査をお手伝いください!

ご協力よろしくお願いいたしますハート

 

 

author:asj, category:エシカル消費, 15:18
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イベント報告「パリ協定発効で日本のエネルギー政策・産業はどう変わるか」

 

★イベントの開催内容はこちら→ http://www.aseed.org/2017/02/5229/

★登壇者資料・イベント録画動画はこちら→ https://www.facebook.com/events/265157193907771

2020年以降の世界の温暖化対策を定めた「パリ協定」が発効され、世界中が地球温暖化問題に取り組むようになりました。

このパリ協定を機に、今回のセミナーでは、

そもそもパリ協定ってどんな内容?といった疑問から、今後日本はどのように取り組んでいくか、金融と経済が今後どのように動いていくかなど、様々な角度から話を聞くことが出来ました。

これからを生きる私たちにとって必要な情報がたくさん詰まったセミナーとなりました。

 

【第一部】パリ協定発効後の石炭火力・原子力・再エネのいま

 

「パリ協定発効とCOP22報告」

WWFジャパン 気候変動・エネルギーグループ長

山岸尚之氏

<パリ協定が意味するもの>

このまま何も温暖化対策をしないと、産業革命前と比べて4℃くらい気温が上昇すると言われています。パリ協定では2℃を基本的な目標とし、1.5℃に抑える努力をしましょうとなっています。

これを達成するために、今世紀後半までに化石燃料を使わないような世界に移行していくことがパリ協定で合意されています。

各国は5年ごとに取り組みを改善することが決められているため、これによって目標を達成することを目指しています。

<私たちとの繋がりはどうなのか>

私たちの生活は大量のエネルギーによって成り立っています。私が使っているマイクや照明、交通機関などすべてにおいてエネルギーが使用されています。つまり温暖化問題と直結しているのです。

国別排出量を見ると、一位は中国なのですが、一人当たりの排出量では日本は11トン(37位)で中国の5トン(55位)よりも多い。インドは一人当たり2トン(128位)しか出していないのに国別だと3位となっています。アメリカは国、個人とも高い。端的に言えばアメリカ人1人でインド人10人分の排出をしているのに、国別でアメリカが2位、インドが3位だから同じような取り組みをしてくださいというのはインド人が怒ります。何が公平なのかが見方によって変わってくるため難しいのですが、それを乗り越えて合意できたというのが大きいのです。

そして何よりも心にとめておいておかないといけないことは、被害を受けるのは一番排出していない人たち、一番温暖化の原因を作っていない人たちなのです。温暖化の原因を作っている人たちと被害を受ける人たちの間で圧倒的な差があり、これを認識していないと解決に向かうことはかなり難しいため十分理解する必要があります。

<海外のダイベストメント(投資撤退)は広がっている>

現在、世界的に化石燃料からのダイベストメント(投資撤退)が進んでおり、総額として3.4兆ドル(約360兆円)にも上るとされています。オックスフォード大学やスタンフォード大学等の有名大学や、世銀や欧州復興開発銀行などの国際機関、そして国民の年金を運用するノルウェー政府年金基金などです。今後もこうした流れは加速していくでしょう。

<日本がやるべきこと>

日本の温暖化対策は順調ではありません。2050年までに80%削減すると言っているものの政策が伴っていないからです。その理由の一つに石炭火力が多いことが挙げられるのですが、建設予定のものが今後、全部建設されると5000万トン排出量が増えます。一般家庭の排出量は年間5トンくらいと言われていますので、日本の大きな課題と言えるでしょう。

ではどうするべきか。一つのヒントはドイツで、排出量は減っているがGDPは上がっているのです。デカップリングと呼ばれており、日本でも今後このような経済成長を目指すべきです。

また、身の回りで何ができるか。もちろん自分たちの生活を改善することは大事ですが、それ以上に大規模排出社の排出を減らすことが第一です。

選挙に行き、良い政策を掲げている人を指示したり、銀行を選ぶといった「選択」をするということを私からは提案します。

 

 

「世界における原子力、日本における原子力」

原子力資料情報室 研究員 

松久保肇氏

<原子力の歴史>

1980年に発表された過去の原発導入予測を見ると、一番高いシナリオはOECDのシナリで2015年までに4400ギガワットだと言われており、一番少ないシナリオでも1440ギガワットと言われていました。

しかし、実際は348ギガワットでして、少ないシナリオと比べても3分の1程度の成長でした。スリーマイルアイランド事故、アメリカ国内での新設原発がなくなる、チェルノブイリ原発事故といったことが要因として挙げられます。1990年以降、原発の大増設は起きなくなり、その流れで福島第一原発事故が起きました。

原発が成長しなかった理由は原発事故が起きたからだけではなく、原発建設コストが上がったということも上げられます。これは安全対策コストが上がったからです。

<世界の原発の流れ>

建設されなくなっているために、特に欧州、アメリカの原発メーカーは合従連衡が起きてきます。

しかし、日本の場合は合従連衡が起きませんでした。理由としては1年に一基というペースで建設されていたからです。しかし、1970年に日本でも同じ場所に原発を立てることが出来なくなり、新しい原発が建てられなくなり、2000年代から原発輸出を考え始めるようになりました。現在もなかなかうまくいっていません。その一方で、ロシア、中国、韓国はそんな中でも元気で、特にロシアは海外輸出も成功しています。

中国は原発が稼働中36基に対し、検討中のものを含めて236基建てる計画があります。

インドなど新興国で原発が多く建てられようとしています。

<日本の原子力の見通し>

原発はコストが高く、建てるのが難しいので、いつかは手放さないといけない時期が来るのにもかかわらず、今の段階で原子力がなくなったあとのことを想定していません。現段階では使うこと、維持することしか考えていない状況はとてもまずいと思います。

世界の原発コストが上がっており、日本の原発メーカーも勢いが失われているという状況から、日本の原発に関して将来はないのではないかと言えるし、日本の原発メーカーに対してもそろそろ廃炉に向かったほうがいいのではないかと思います。

 

 

「約1年が経過した電力小売自由化制度の成果と今後の課題」

国際環境NGO FoE JAPAN

吉田明子氏

<日本のエネルギー政策>

日本のエネルギー政策は震災を機に大きく変わろうとしています。

一つは電力システム改革。今までの地域独占の大手電力会社が独占して総括原価方式は、震災によってひずみがでました。他の地域から融通していれば計画停電も必要なかったのです。2013年にこのシステム改革が閣議決定されました。

それから再生可能エネルギーに関しても2012年の再エネ固定価格買い取り制度の導入で、実際に導入量が右肩上がりで増えてきています。このようなことから新規の再エネ電力会社が参入するということが起きています。

一方で2014年のエネルギー基本計画では「原発をベースロード電源 に捉える」というのが書き込まれましたし、2015年には長期エネ需給見通し で原発20パーセント以上というのが書き込まれました。

そして現在では、託送料金で原発コストを補うといった議論が出てきたり、万が一電力会社がつぶれても再処理を続けていけるように国が関与した再処理機構が設立されたりということが起こっています。

※長期エネルギー需給見直し関連資料.資源エネルギー庁(2017/2/22)

 

<日本の流れ>

現在の日本の政策は火力と原子力推進となっています。原発が止まったため、石炭火力を建てようとしている。電力自由化のため、各社はできるだけ価格が安いエネルギーが欲しいため、安い石炭を使うようになってしまっています。(2012年から)

現在は石炭火力が48基建設予定で、これは原発20基分以上のエネルギーを生み出すことになっています。

今でさえ電力が足りていて、省エネ、再エネも進むのに果たして石炭火力は必要なのでしょうか。

<私たちに何ができるのか>

安さだけの選択をするのではなく、再エネを目指すことを明確にしている電力会社こそ選択する必要があります。このような理由から、パワーシフトキャンペーンを行っています。

再エネを目指していることを相互に確認した会社のみをウェブサイトにて紹介しています。現在20社が参加しています。日本でも、再エネを使用している電力会社を選ぶ時代になっていきます。まだまだ電力会社を変える人たちが少ないです。電力会社の選択肢が増えてきた2017年こそ変えていく年になってくると思っています。

 

【第二部】パネルディスカッション

 

第二部では一部で登壇した三名に加え、A SEED JAPANから鈴木、西島が加わり「2050年に向けて、まずは2020年までに、私たちは何をしていかなくてはいけないのか」をテーマに議論を深めていきました。

またA SEED JAPANの鈴木亮からは、「フェア・ファイナンス・ガイド」の紹介とともに、石炭火力発電への投融資を低減させるために銀行へのアクションを進めたいという話をさせていただきました。また、「福島からのパワーシフト宣言」と題して、福島の石炭火力・原子力・再エネの現状を共有し、原発事故のあった福島からこそエネルギーシフトをしていきたいとの話がありました。

こちらは来月4月11日に行われる結イレブンにて、より詳しく議論を深めていきます。

4月11日結イレブンの詳細はこちら→http://ameblo.jp/suzumenomiraichi/entry-12255270118.html

 

(吉田)2020年まであと3年です。でも3年間で出来る事はたくさんあります。ここからの3年間は本当に大切です。そしてその動きを作り出すのは市民である私たちです。

 

(松久保)日本は、再処理によって核兵器の材料になったり、原発の燃料になるようなプルトニウムの取り出しを認めているのですが、2018年に日米原子力協定が期限切れを迎え、見直しされるタイミングで、私たちは再処理を止めたいと考えています。皆さんともぜひ協力してやっていきたいです。

 

(山岸)WWFでは2011年にも自然エネルギー100%のシナリオを出していたのですが、その当時はそんなことできないという声が圧倒的に多かったです。今でもそのような声はあるのですが、企業が目指したりと実現に向け動き始めています。

また再エネは安定しないという声もある中で、昨年の1日(5月4日)だけですが、九州電力で使われた電力の78%が再エネで賄われました。今までの電力系統ではありえないことなのですが、それを達成できたということは日本においても大きな一歩となったのです。

自然エネルギー100%は全く不可能な話ではないと思っています。

WWFエネルギーシナリオの詳細はこちら→http://www.wwf.or.jp/activities/climate/cat1277/wwf_re100/#energyscenario2017

 

<今回のイベントを振り返って感じたこと>

ライターの長島遼大です。

私たちはこれからどのように生活していくべきかを考えるきっかけとなるセミナーになりました。

A SEED JAPANとしても、今年はパワーシフトに力を入れていきます。多くの人が、自分たちの使う電力に関心を持ち、自発的に選ぶ、その面白さに気づくようなきっかけ作りをこれから進めていきたいと思っています!

登壇者の山岸さん、松久保さん、吉田さん、そして参加者の皆さんご参加いただき誠にありがとうございました。


 

author:asj, category:エネルギー, 17:49
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3月17日 私と預金と社会問題の関係をレクチャー

事務局の西島です。

 

3月17日、神奈川県内の高校で、「環境問題に対して私たちが身近にできること」をテーマに講義をさせていただきました!

 

この日は、事務局長西島&エコ貯金プロジェクトメンバーは朝8時に高校近くのファミレスで落合い、流れを確認しました。

早起きっていいですね!(A SEED JAPAN事務局はお昼過ぎの出勤が多いため…)

 

教室には40名弱の学生さんが集まってくれて、70分間じっくり、講義させていただきました。

内容は、「お小遣いやアルバイト代が環境破壊や戦争に使われる?」


みなさんは、銀行口座を持っていますか?お年玉やお小遣い、アルバイト代を預金している人もいるでしょう。みなさんが持っていなくても、お父さん・お母さんはきっと持っていて、生活に必要なお金を預金しているかもしれませんね。日本の銀行口座に集められているお金は、なんと900兆円にも上るんですって!でもそんな大事なお金が、世界の環境破壊や戦争に使われてしまう、ということが起こっています。それは何故なのか、それを変えるために何ができるのか。考えてみましょう!

 

自分の預けたお金が、例えば兵器産業に使われてしまう実態について、「問題だと思う?仕方ないと思う?」という問いかけもして、みんなでディスカッションをしました。

 

「日本の経済のためには、仕方ないと思う」

「選挙で候補者を選べるように、銀行を選ぶことができるのだから仕方がない事ではないと思う」

「銀行がどんな企業に融資しているのかは、私たちにもわかるの?」

 

色々な意見が出ました。

 

最後に、A SEED JAPANでは、JACSES・PARCとともにFair Finance Guide JapanというWebサイトを運営していることを紹介。

 

できたての教材も初めて配らせていただきましたるんるん

高校生活は集団教育の最後。

高校を卒業したら、それぞれの道へ行く。

与えられた問にたいして答えを見出す勉強ではなく、自ら定めた問いの答えを見つける研究をする人も多いと思います。

あるいは、仕事に就く人も多いかと。

 

少しでも心に留まる授業になっていたなら幸いです。

 

 

 

author:asj, category:エコ貯金プロジェクト, 20:13
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3月11日 ふくしまの若者たち、6年間の軌跡

JUGEMテーマ:日記・一般

 

ニコ事務局長の西島香織です。

今年の3.11は、非常に貴重な経験をさせていただきました。

 

かねてよりお世話になっている菅野瑞穂さんから「福島の二本松でイベントをやるから」をお声がけいただきました。

瑞穂さんは1年弱かけて、あぶくま地域の若者たちを取材した冊子「みんなのきもち」を完成させました。今回、3月11日に合わせてお披露目し、インタビューしたみなさんを呼んでトークイベントをするということでした。

 

それで私がお願いされた役は、司会。

こんな大切な日の重要なイベントの司会と聞いて、東京に住む私が司会なんていいのかしら、、と思いつつkyu、でもとても嬉しかったのでお引き受けしました。

 

「みんなのきもち」に集約されているのは、福島に住むという

選択をした6人の若者たち。もちろん瑞穂さん自身も、東和に住む選択をした一人。どんな人たちをインタビューしたのだろうと楽しみにしていました。

「みんなこの6年間頑張ってきた。でも福島から撤退する団体や、福島から出ていった人も多くて…今必要なのは、それぞれの地域で頑張る人たちの居場所をつくること」

そんな思いから、インタビューは狭い地域ではなく「あぶくま地域」。今後は、他県に避難して定住した人の思いも聞きに行きたいとのこと。

 

そんな「みんなのきもち」を聞きに来た人は、福島県内外から50名ほど。東京からもたくさん。熊本県の水俣や石川県から来た人も。

 

6人のパネラーは、職業も出身もそれぞれ。

石垣島出身でここに移住して、農家民宿をしている「農家民宿ゆんた」の仲里さん。

テレビディレクターとして福島の今を伝えている寺島さん。

飯舘村出身で、京都・福島市に避難してまた飯舘で畜産農家をやりたいという山田さん。

鹿島出身で、東京のベンチャー企業に勤めた後、福島のために何かしたいと思い、県内で様々な人や団体をつなげてきた鎌田さん。

震災後に県外から田村氏へ移住し、夫婦二人三脚で農業・加工業をしている稲福さん。

 

60分程度という短い時間の中で、ここで生きていく覚悟や、生きていく意味について、話してもらいました。

 

本当に、ここには書ききれない様々な思いが交錯して集まって共有できるような素敵な空間でした。

 

 

あえていくつかご紹介するとしたら、この冊子の最後のインタビュー記事で、仲里さんはこう言っています。

 

「福島の土地は汚染されたかもしれないけれど、それで使い捨てにしていたら土地なんてどんどんなくなっていくじゃない。その土地を大切に使って食べ物を生産することってほんとのオーガニックじゃないですか?大事に地球の土地を守ってるっていう風に思ってほしいなって思ったんですよね。だから福島で有機農業をやる意味ってすごいあると思いますね。」

 

飯舘村の山田さんも。

「今まであった農地、地域、仕事全て元通りは無理だから、来世の自分が少しでも生活しやすくなるようにと気楽に考えて頑張るよ(笑)。」

 

この冊子を読んでいて気付いたこと。それは、土地に対して本来普通に持っている感覚――受け継がれてきたもので、受け継いでいくものだということ――を、私は忘れて生きていたんだということ。そうして大地や食は守られてきたのだということ。そして多くの人たちがこの感覚を忘れているために、この感覚を持っている人を理解できないまま、「なんでわざわざここで農業をするのだろう」「ここにはきっと住めない」という疑問や懸念を抱いたのではないかということ。

 

そう、それは「取り戻す」という言葉が合っている気がします。

「みんなのきもち」の中で、鎌田千瑛美さんがこう書いています。

「自分の食べる分くらいは自分で作れるようになりたいって想いで、近所の農家さんのお手伝いを始めました」「すごいことをたくさんやってるのに、社会的な価値に繋がっていないなって改めて思った。あとは哲学的なこと。自然界の中での人間の立ち位置とか、万物のよくわからないものを感じるようにはなってきてる。本来持ってたものを今取戻してる感じ。」

 

私がこの数年間で福島の地域づくりや農業をする方々に何度も会う中で、最初は気づき・驚き・学びであった感覚。それがだんだんと、共感しているような、自分の心の奥底が共鳴しているようなそんな気持ちに変わっていった気がします。それを、「本来持っていたものを取り戻している」という言葉に当てはめると、なんとなくぴったりな気がする。

 

3.11に合わせて、たくさんのメディアや市民運動もふくしまのことを伝えていました。風評被害のこと、食と放射能のこと、どうやってまちを復興させていくのかなど。

専門家を呼んで議論するのもいいけれど、「普通の若者」の話のほうがよっぽどリアルで、本質的な答えにつながっていると私は思う。彼らが未来を創っていくんだなぁと本当に思えたし、私も一緒に作っていくんだなぁと嬉しくなりました。

 

同時に、誰と一緒に誰に向けて何をするか、根本から考える機会をくれました。

 

ハート当日のレポートについてはこちらでもご覧いただけます。

http://ameblo.jp/yunosato-farm/entry-12256094046.html?frm_src=favoritemail

 

 

 

 

author:asj, category:ASJイベント報告, 00:03
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春の発送作業まであと少し

こんにちは、事務局の西島です。

朝晩は冷えますが昼間はぽかぽかな東京。

 

今日も事務局ボランティアのかんちゃん・事務局スタッフのとみーと和気あいあいと作業です。

3月にイベントを3つ開催する予定ですので、そのチラシなどを発送します。

デザイナーのむらんが作ってくれました、ありがとうございます!!

 

そしてもう一つ発送するものが。ついに完成する”新”エコ貯金冊子ですkyu

まだここでは見せられませんが、かなり可愛い&わかりやすい出来になっています。

もうすでに「エコ貯金」を知っている方は、ぜひお友達に渡していただきたいと思います!(わりと渡しやすい可愛さです)

 

会員のみなさんはもちろん、日ごろからお世話になっている方お送りしたいと思いますのでお楽しみに。

 

印鑑おし

author:asj, category:毎日の事務局, 23:18
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【2016/12/5開催レポート◆曄崗暖饉圓離船ラで銀行をエシカルにする意義と可能性」

ディスカッション
「消費者のチカラで銀行をエシカルにする意義と可能性」

 

シンポジウムの後半では、国際的な農と食の問題に詳しいAMネットの松平尚也氏、日本のグリーンコンシューマー運動をけん引してきた環境市民の破椣蘋源瓩砲眦价鼎い燭世、エシカルな消費と金融をいかに実現していくか、糸口を探りました。

 

コメント Ь省疹位藥瓠AMネット)

 


GMOについて、その種子の開発には膨大な時間と費用がかかるため、投融資の引き上げはインパクトがあります。ただ海外でのモンサントへの投融資には多国籍金融企業が名を連ねており、なぜGM技術が世界的に支持されているのか、GMに価値を与えている世界的な食と農のシステム・ガバナンス・政治力学を考慮すべきです。
GM企業の論理はエシカルからほど遠いところにあります。継続的な種子購入、耐性雑草の問題などがある大規模工業的農業であるにもかかわらず、GMOは環境に良い持続可能な農業と謳われているのです。また日本におけるGMOの問題として、安価であるために家畜飼料や甘味料などで表示もされずに大量使用されていることがあります。
世界での流れを見てみますと、欧米ではGM表示の義務化を求めるなどGMO消費への疑問の声があがっています。また2007年の食糧危機以降、持続可能な農業や小規模農家への投資の動きがあり、2008年の食料サミットで食糧安全保障に関して市民社会・農業組織の関われる構造改革が行われました。FFGでもこのような持続可能な農業に向けての取り組みについて考慮すべきではないでしょうか。
最後に、エシカルな金融を広げる運動と持続可能な食と農とをつなげることにおいて、毎日の食卓との関係させる重要性を感じます。というのも、日本の食費では外食・中食が大きな割合を占めますが、そこでは表示がされていない抜け穴である場合が多く、知らないうちにエシカルでないGMOを消費してしまっている可能性が高いためです。


コメントに対する回答:

(田辺氏)日本の投融資の改善だけではGMはとまりませんが、金融は一つのきっかけとなるアプローチですので、購買の選択と銀行の選択を同時に行えることが重要です

 

(König氏)EUやスウェーデンではGMOにすでに強い規制がかかっているので、消費者はその危険にさらされていません。しかし、もしそのような事実が示されれば、大きく批判がされるでしょう。また消費者は銀行からお金が流れているという問題の存在自体は知っているはずです。しかし重要なのは、銀行にいかにわかりやすく消費者からの関心を伝えるかということではないでしょうか。


コメント◆破椣蘋源瓠粉超市民)

 


私は環境問題の根本的な解決のためには私たちの生活や経済を変える必要があると考え、1990年代からグリーンコンシューマー運動に関わってきました。しかし、当時は企業からの情報公開が乏しい状況にあったため、地域のスーパーなどの商品販売がどれだけ環境に影響があるかわかるように、地域版の情報を調査し、ガイドとして公開しました。その結果、日経新聞で大きく掲載されるなど大きな反響がありました。その後同様の取り組みが各地に広がり、それらをまとめて全国版のガイドを製作するに至りました。
現在の活動ですが、加工食品・お菓子・衣類など普段買うものを作っている企業の評価を行おうとしています。その評価を公表するために、スマホに対応したプラットフォームを作っているところです。
König氏へ一つ質問で、FFGで各銀行の評価を示しているとのことですが、それと同時に銀行口座の移し替えを推奨する活動も行ったのでしょうか。


コメントに対する回答:
(König氏)私たちは二つの行動を消費者に求めました。一つは銀行の評価や調査結果について意見を表明すること、そしてもう一つは口座を移し替えることです。ただ実際に移し替えが行われた可能性は少ないでしょう。しかし、口座を移し替えるかもしれない、と銀行側に伝えるだけでも十分銀行にとって脅威であり、効果があるのです。そのように銀行側に改善の意図があれば移し替えが行われなくても十分ですが、もしそうでない場合はより踏み込んで移し替えを推奨する必要があるでしょう。


(田辺氏)日本での現状としては、オルタナティブな銀行は投融資方針をほとんど掲げておらず評価ができていないので、まずろうきんへ投融資方針を掲げるよう働きかけを行っています。またもう一つの問題として、各銀行の評価は示しているものの、その上でどの銀行を選べばいいのか、その選び方も示せていません。今アドバイスするとすれば、スコアが高い銀行か、総投融資額が少なくインパクトの少ない銀行を選ぶのが良いのではないでしょうか。もしくはFFGJに頼らずに、ろうきんや信金を選ぶのもいいでしょう。


会場質問
Q.原発問題と同様に、金融に対する活動に対して政治的な圧力はかかっているのでしょうか。もしあるとすればどのように対応しているのでしょうか。
(König氏)スウェーデンでは、政治的圧力があるとわかった場合に国民が大きな批判的反応を見せるため、議員も市民からの票を獲得するためにそのような行動には出にくくなっています。ですので、日本で政治的圧力が存在してしまっているのは、国民の反発が不十分だからなのではないでしょうか。もしくは社会的な問題と私たち消費者とのつながりを明示しきれていないのだと思います。
(破椹瓠貌本の風土では、一般市民の声が届かず、力のあるものの声のみが影響力を持ってしまっています。その解決にはアドボカシーを高める、また特定の市民が意見表明に対する圧力を受けないような仕組みを作ることが必要です。特に、NGO・NPOが力を持つのではなく、一市民が発言できる世の中にすべきです。
(松平氏) アメリカではGM反対運動が盛り上がっている一方で、その運動を行なっている団体に対して予算がつかないなど、批判的活動への圧力があります。そんな中、アメリカでは潮目が変わっており、全米でのムーブメントができつつあり、一層拡大するためにも、市民社会や研究者がいかに連携して未来社会のために声を上げるかを考えなければいけません。また、これまでの活動を通じて実は食品企業が消費者に敏感であるとわかったので、市民社会としての立場を明確にすれば何か変化を起こせるのではないでしょうか。


Q.FFGでは一般消費者に使ってもらう仕組みの整備に課題があると感じます。特に、FFGの普及・活用以前に、消費者に対する金融教育を行う必要があるのではないでしょうか。
(田辺氏)まず消費者への普及に向けた取り組みとして、まず意識の高い人々へケース調査を提供することで金融について問題意識を持ってもらい、そこから詳細に興味を持ってもらうようにしました。それについては一定の支持が得られています。一方で金融教育についてはまだ課題があります。
(西島) A SEED JAPANでは消費者へ基本からの金融教育の活動をしています。具体的には、エシカル消費への関心を持っていない人々向けに金融に関する小規模セミナーを定期的に開催しています。また現在学生向けの金融教育冊子を作成中で、来年の春頃に完成する予定です。
(König氏)まず、スウェーデンでは350をはじめとして、若い人々がよりエンゲージしているため、若い世代をターゲットとする日本の方針は正しいです。既に意識の高い人々はランキングなどわかりやすいツールを求めていたため、FFGはそれにマッチしており、自然と受け入れられるものでした。FFGの社会的な認知を高めるためにはトリクルダウンが必要です。つまり、意識の高い人々が消費者の取るべきロールモデルを形成し、それを一般市民へと広めていくのです。


Q. 伝統的な消費者運動が続いていますが、今後どのように関わっていくのでしょうか。
(破椹瓠謀租的な消費者運動が残念ながら近年コア層の高齢化により弱くなってきている中で、今後どのように運動しようか考えています。かつてグリーンコンシューマー運動では目的や手法を明確に提示したことで伝統的な消費者運動の人々が主体的に協力してくれた経緯がありますので、今後もそんな手法が有効でしょう。また現在行なっている「消費から持続的な社会を作る市民ネットワーク」では、人身売買やフェアトレードなど様々な専門性を持った団体と、伝統的な消費者団体が参加しています。ということは、消費者運動は様々な層に受け入れる可能性が高いのではないでしょうか。

 

Q. 大手銀行はグリーンウォッシュをはじめとしてイメージを作ることが上手なので、FFGのツールが銀行の良いイメージ作りに利用されてしまう恐れがないでしょうか。
(König氏)FFGの評価は2点において価値があると考えています。一つは銀行の約束のマッピングとして、これからのスタートポイントとなること、そしてもう一つは方針が実践に反映されているかどうか、監視を通して明らかにできることです。今後は銀行との対話において、約束に対する実践の有無の解釈に関する認識の差が現れて、議論が白熱するのではないかと予想しています。


Q. スウェーデンで銀行が消費者の意見を受け入れる風土が醸成されていたのはなぜでしょうか。また今後の一層取り組みを深めていくために、銀行同士の連携が有効ではないでしょうか。
(König氏)スウェーデンでは伝統的に、自分の決定に関する根拠や説明責任を、政治家だけでなく企業に対しても求める風土があります。また銀行が、私たちを敵対者ではなく協力者と捉えて、FFGを銀行のCSRを示すツール、今後のCSRに関する行動の指針として活用しているのも受け入れられた理由でしょう。銀行はCSRの強化が利益の増加につながり、また一方で持続可能性の無視は長期的なリスクになると認識しています。銀行は営利企業として、持続可能な事業モデルの確立と同時に黒字化を行うため、まずは顧客を最も重視しています。実際に銀行側に行動させるためには、顧客が持続可能な事業を求める意見を届けるなど、消費者の協力が必要です。
銀行同士の連携ですが、スウェーデンでは実際に行われています。それは金融業界全体でリスク認識を共有する必要があると考えているからです。

 

Q. スウェーデンにおけるFFGの成功は、ツールとしての優秀さに加え、FFGが消費者の代表であるとのコンセンサスがあったことによるのではないかと思います。一方日本においてはそんなコンセンサスがない上、そもそも市民が銀行を変えられないと無力感を持っていると感じます。その無力感を払拭し、市民の力を実感・強化するために、市民に向けた教育やキャンペーンをどう行っていけばいいでしょうか。
(松平氏)個々の団体や業界の中で考えるだけでなく、横の連携を持って、地域レベルでグローバルな問題について、オルタナティブを議論する場が必要だと思います。
(破椹瓠砲つてのグリーンコンシューマー運動の際、企業・行政にない情報がNPOにあるとして、企業から多くの助言を求められました。これから社会を変えていくには、民間企業や行政でなく、市民社会による独自調査が重要でしょう。
(田辺氏)スウェーデンと程度の差がありますが、現在6銀行とは友好的に活動できてきています。こういった有効なツールをもってすれば他の分野でも変えられるとの確信を得ました。
(König氏)市民社会が持続可能性の実現のために大きな力をもっている、ということを情報として示し、単純な形で消費者を方向づけることが非常に有効です。また、世界的に銀行業界において持続可能性の重要性が認知・共有されている、という国際状況について、政治家から指摘させるのも有効でしょう。

 

 

Fair Finance Guide JapanのWebサイトはこちらから

fairfinance.jp

 

author:asj, category:エコ貯金/フェア・ファイナンス, 11:07
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【2016/12/5開催レポート 曄崟こΔ乏悗屮┘轡ル消費〜スウェーデンの銀行を変えた消費者のチカラ」

2016年12月、Fair Finance Guide(以下FFG)の日本版のウェブサイト(以下FFGJ)の立ち上げから2年が経ったことを記念して、国内外から様々なゲストをお呼びして、東京・京都の2か所、計2日にわたって、シンポジウムを開催しましたきらきら

 

 

海外のゲストはスウェーデン消費者協会のJakob König氏kyu

7000通を超える銀行へのメッセージを集め、また銀行業界での社会性に関するルール作りのため様々な運動を仕掛けている、そんなFFG Swedenの運営を主導しています。

また国内からも、様々な分野にて消費者運動をけん引されてきたゲストの方々をお招きしました!


これまでのエシカル消費にとどまらない、エシカルな銀行の選択によるお金の流れの改革のために、日本の消費者は何ができるか、何をすべきかを深く議論することができました。


ここでは、2日目に京都にて行った講演についてご報告します。

 

 

西島香織(A SEED JAPAN事務局長)
「開会挨拶:本シンポジウムの趣旨と概要」


FFGは銀行の投融資について評価し考えるツールとなっており、これまでの調査から非人道兵器、タスマニア州の森林破壊などの環境破壊につながる業界に対して銀行の投融資がなされていることが明らかになりました。

そういったお金の流れを変えるためにも、これからは銀行の安全性、つまりつぶれないかどうかだけではなく、社会性も考慮していく必要があります。

 

さて、エシカル消費と食事を金融の視点から考えてみます。

 

これまでエシカルな消費者はアクション、つまり食べない・買わないなどの消費行動を通じて意思表示を行ってきました。その一方で、そういった皆さんの預金を通じた意図しないお金の流れも存在している現状があります。

だからこそ、商品の社会性だけでなく、銀行の社会性も考えることが必要なんです。特に、銀行を変えることには大きなレバレッジがあります。というのも、銀行からのお金の流れを変えることで、エシカルな消費者だけでなく、そうでない消費者のお金の流れも同時に変えることができます。
今回は、スウェーデンでどのような取り組みがあり、また日本でこれからどういう取り組みの予定があるのかについて、ゲストの皆様からお話をいただきたいと思います。

 

 

田辺有輝氏(「環境・持続社会」研究センター(JACSES))
「FFGJの2年間の取組みの成果と課題」


FFGは元々2009年にオランダの消費者団体を中心に設立されたもので、2014年に日本を含む7か国、その後さらに2か国を加えて現在9か国へ活動が広がっています。

 

 

現在は資産額の多い日本の上位7銀行について投融資方針を評価。評価スコア改定を複数回にわたって行いました。
その銀行の評価の総合点を見ると、三井住友トラストが一番で、それに大手3メガが続いており、農林中金や日本郵政は非常に低いスコアとなってしまっています。このようにスコアで比較することで、どの銀行がよりよく取り組んでいるかがわかりやすく見える上、銀行間で競争意識が働きます。

過去2年間のスコアの変化を見てみると、スコアが上昇した銀行が複数あります。このうち三井住友トラストはエクエーター原則に署名し、りそなも国連グローバルコンパクトに署名するなど取り組みを深めました。

 

ところで、銀行が方針を掲げると、それによって高いポイントが得られて、銀行に対する評価が上がります。このこと自体はいいのですが、一方で実際の投融資行動との間にギャップが生じている懸念があります。そこで投融資の実情はどうなのか、ケース調査を通して確認しています。

しかしながら銀行は、ケース調査よりもむしろ預金者からのメッセージを強く気にしています。

 

「日本の金融機関による遺伝子組み換え食品関連企業への投融資実態に関するケース調査報告」

(12/4では田中滋氏が、12/5は田辺氏が報告)


先月(注:2016年11月)には遺伝子組み換え食品(以下GMO)に関するケース調査も公表しました。GMOのリスクは多く指摘されています。例えば遺伝子組み換え(以下GM)の中で意図しない効果が生まれた場合に、それが自然界に浸透して汚染が広がる危険性があります。

また人体にも疫学的に影響があると分かっていて、アレルギー・免疫不全の患者がGMOをやめたら改善したという例があります。さらに農家にとっても、種子を毎年購入しなければならず、経済的な負担が大きく、世界銀行が途上国農家の経営の観点からGMOに疑問があると発表しました。

これらの問題があるにもかかわらず、世界中にGMOが広まってしまっています。

一つの原因として、他の分野では予防原則、つまり科学的に影響が不確定であっても、大きなインパクトをもたらしうる場合は予防的に規制することが求められていますが、これが現状ではGM産業において組み込まれていないことがあります。そのようなGM産業に関するケース調査では、GM種子三大大手企業のモンサント・シンジェンタ・デュポン、またGM関連農薬最大手バイエル、そしてモンサントの農薬に対してキーテクノロジーを提供している住友化学の5社に対する投融資額を調査しました。その結果、7銀行から2.8兆円、さらにGPIFから3400億円の投融資がなされていることが明らかになりました。GMの技術開発には莫大な初期コストがかかるため、金融は大きな役割を持っています。欧米の動きに対して、日本の銀行はGMOに関して何も言っていないため歯止めがかかっておらず、働きかけを強めなければいけません。
今後について、まず現在日本の銀行の評価は海外の大手銀行より低い水準にあるので、方針の改善が必要です。また既に掲げられている方針も実践されていないため、銀行に実施体制を作らせる必要があります。活動としては、保険など他の金融機関への評価も行っていく予定ですし、またインド・タイ・フィリピンなどアジア地域に活動を広げる予定です。

 

Jacob König氏(Swedish Consumer’s Association:スウェーデン消費者協会)
「スウェーデンにおけるFFGの取組みの成果〜エシカル消費のムーブメントと銀行の変革」


私はスウェーデン消費者協会に所属し、アムネスティなど4つの団体と共同でFFGにおいて活動しています。今回はFFGによるスウェーデンの銀行に対する影響と消費者からの反応についてお話します。

 


スウェーデンでは以前から、消費者が自分たちのお金と社会・環境問題との関連に気づき、銀行へ社会的責任を求めている恵まれた状況にありました。実際に95%の消費者が銀行に対する倫理性・環境性を重視し、また2/3の人がそのために預金先の銀行を変えることを厭わないと回答しました。特に、再生可能エネルギーや電車、電気自動車など、人権や環境問題に影響を与えない分野への投融資を求めていました。

しかし、実際には消費者には様々な課題がありました。例えば、お金の流れが見えにくいこと、銀行間での違いが見えづらいこと、銀行を選ぶ際に第三者的なアドバイスを与える主体がないこと、そしてほしい情報にアクセスするための仕組みができていないことです。

加えて、銀行業界も社会的責任を満たすために独自の活動をし、その結果を公表していましたが、それらの取り組みは独立性に欠けており、情報の信頼性がありませんでした。つまり、消費者は自分の銀行がいいのか悪いのかわからない状況にあり、またそれに対して銀行側にはあえてその状況を変えるようなインセンティブがなかったのです。そのために私たちはFFGを立ち上げ、消費者が銀行の持続可能性に対する取り組みについて容易に理解できるようにしました。

 

FFGを始めた当初の銀行のスコアは平均が22%と、日本の銀行と同じくらいの非常に低い評価の状況から始めました。改善のためにまず私たちが行ったのはユーザフレンドリーなウェブサイトの提供です。トップには銀行の総合スコアなど大まかでわかりやすい情報を見せて、より深く知りたい人はクリックして掘り下げられるような形式にしました。そんな取り組みを続けた結果、消費者からこれまで銀行へのメッセージを9000通以上集めました。

そのうち98%が失望的な意見で、3100通が一般的なスコアに対する、5900通がケーススタディに対するメッセージでした。また450のニュースや記事に掲載されるなど様々なメディアからの注目も集めました。さらに、銀行も含めたパネルディスカッションや、銀行のCSR担当者やチーフエコノミスト、政府の担当者なども交えた銀行との対話をそれぞれ3回行いました。そして、1年に1回スウェーデン銀行協会において全ての銀行を集めた会議を行っています。


銀行側の反応はというと、当初は皆懐疑的でしたが、競争的なスコアを発表すると銀行側から強い反応があり、スコア改善のために様々な取り組みが始められました。例えば投融資方針の改善やポジションステートメントの発表、エクエーター原則への署名、サステナビリティ担当者の増員などです。また7銀行のうち6つが投資ファンド別にどれだけ社会的影響があるのか情報公開して比較できるようにし、同じく6銀行が石炭への投融資を撤回するなど気候変動への取り組みを深めました。そうした中で、私たちは市民側の代表として銀行と建設的でオープンな対話を行いました。特にFFGは、銀行に評価を一方的に送りつけず事前の連絡をするなど、高い透明性を評価されました。基本的に友好的な関係を築いていたので、ある銀行のCSR担当者は、ポリシー対象のセクターの追加や明示、投融資において何を検討するべきか、ガイドラインを作成する際にFFGがいい参考になったと話してくれました。

 

このように取り組みを続けた結果、現在ではスコアの平均が47%と大きく上昇し、特に前年に下位に評価された銀行は翌年スコアを大きく改善しました。またオルタナティブな銀行では新規口座開設への問い合わせが大きく増加しました。


投融資方針と実態とのギャップは日本と同じく問題です。まず採掘業における人権のケース調査を行ったところ、7銀行のうち6つでギャップがあり、重大な人権侵害の可能性のある企業への投融資をしている銀行もありました。そこで、レポートの事前連絡の際にその実態について銀行に尋ねたところ、会社と銀行との間での対話で改善を図っているとの回答がありましたが、その大部分が信頼できないと判断したためレポートを消費者に公開しました。銀行はコンプライアンス意識が高くポリシー違反を指摘されることを非常に嫌うため、このようなケース調査の発表は有効です。化石燃料についてのケース調査ではパリ会議の前に調査を行い、預金先の銀行が化石燃料に投融資しているような恐竜銀行である、という内容のビデオを広く公開しました。消費者はそのビデオによってはじめて化石燃料への投融資の実態を知り、大きく反発したのです。さらに、国際調査では、世界中の銀行で投融資額の88%が化石燃料に投資された一方で、12%しか再生可能エネルギーに投資されていないことが明らかになりました。そんな中、一番再エネ率が高いと判明した銀行は、その事実に誇りを感じ、取り組みを継続したとのことでした。ですので、褒めるところは褒める、批判するところは批判する、というやり方で効果をあげていきました。さらに武器輸出に関するケース調査で、人権侵害や戦争行為に加担している国・企業に対して資金提供をしているかどうか調べた結果、4/7が違反しているとわかりました。よって、ポリシーがあるだけでは不十分で、実際に正しく投資先を決めるよう銀行に働きかけるべきなのです。


以上をまとめると、以下の点がスウェーデンでのFFGの成功の理由と考えています。

1)消費者が全体的に持続可能性への関心が高く、広がる土壌があったこと。

2)銀行が顧客からの不満に対して敏感で、また競争相手との比較で劣っているのを嫌がるという性質を有効に利用し、市場インセンティブを生み出したこと。

3)さらに銀行業界において、もともと社会的行動による顧客満足への貢献が重要視されていた中、運営やデータ提供を独立で客観的に行うFFGの方法論が許容され、対話によく対応するなど銀行の改善への意欲が高いことも追い風になったこと。

4)加えて、政治家を巻き込んで万一の場合、規制政策を打たせる可能性を示唆したり、消費者の代表として集めた意見を銀行にわかりやすく伝えたりしたこと。

 

最も重要なのは、銀行業界というパワフルでインパクトの大きいセクターにおいて、彼らが自ら行動を正していくようにし、それをサポートすることで、そのためには正面からプレッシャーをかけなければいけません。このような活動の成果の表れとして、最もイノベーティブな技術賞にノミネートされました。


今後は実践状況の調査を強化し、年金基金の運用の評価を行う予定です。また国際的にはノルウェーと協力したり、より多くの国にFFGを広げたりすることを考えています。

 

レポートの続きはこちらから!

 →http://asj.jugem.jp/?cid=31

author:asj, category:エコ貯金/フェア・ファイナンス, 10:52
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